「うつ病などの精神障害を抱えていると、仕事には就けないのだろうか?」
そんな不安を抱えている方は、たくさんいらっしゃるように思います。
ネットで検索しても、「うつ病だと仕事ができない」といった記述が出てくることがあるかと思います。
「うつ病」は誰でも発症する可能性のある病気です。
今平気だからと言って、交通事故に遭わないと言いきれないように、今元気だからと言って、うつ病にならないとは限りません。
就労移行支援事業所ルーツ横浜関内の支援員として働いています。支援員の目線からわかることをお伝えします!
目次
うつ病の就職は不利なのか?
就職が難しく見えてしまう理由
「うつ病になると就職できない」というような漠然としたイメージも持っている方が多いのではないでしょうか。
確かに職歴にブランクがあったり、体力面や精神面で、不安を抱えることもあるかと思います。
だからといって、復職できないということや、就職できないということはありません。
就職を決めることができ安定して働いている方は、うつ病と「うまく付き合っていく方法」を知っています。
病気を克服したり、我慢するのではなく、自分自身と向き合い自分を知ることや周りに頼れるサポート体勢があることが大切です。
そのためには“しっかりとした準備”と“心構え”をして、これからのことに目を向けることが必要です。
うつ病の人が就職するための準備(就労準備性)
就労準備性ピラミッド
就職する上で大切なこと、就職で準備するべき要素をまとめたものを「就労準備性」といいます。
就職準備性には、健康管理、日常生活管理、対人スキル、基本的労働習慣、職業適性の5つがあり、この5つは段階的にステップアップしていく要素なので、「就労準備性ピラミッド」とも呼ばれています。※下図参照
就職の準備ができている人は、この5つの要素を持っている人とも言い換えられるでしょう。
もちろん、全部の要素を完璧に持っていなければいけないということではありません。
これらは1つ1つしっかりと土台を作ることが大切なので、まずは最初の土台を安定させ、それができたらその次の段階と着実にステップを踏んでいきましょう。
一つ一つの説明や、就労準備性ピラミッドを使用してどのように準備していくかは下記記事でご紹介していますので、ぜひ確認してみてくださいね。
心構え(オープン・クローズ)
次に、必要な「心構え」についてみてきましょう。
病気や障害をお持ちの方の就職では、「オープン就労」と「クローズ就労」について知っておく必要があります。
オープン就労とは?
オープン就労とは、自分の病気や障害を伝えて就労することです。
オープン就労にすることで得られるメリットとして下記の4点などがあります。
- 症状や服薬、勤務時間の理解を得られる
- 周囲(同僚や上司)に配慮をもらいやすい
- 面接時にブランクに対する説明ができる
- 定着率が高くなる
また、デメリットとしては自分だけで就職先を探すと、選択肢が減ってしまう可能性が考えられます。
クローズ就労とは?
クローズ就労とは、自分の病気や障害を伝えずに就労することです。
クローズ就労にすることで得られるメリットとして自分だけで仕事を探す場合に求人が狭められないことがあります。
デメリットとしては、下記の4つなどがあると言えます。
- 周囲の配慮を期待できない
- 症状や服薬、勤務時間に理解を得られにくい
- 面接時のブランクの説明に苦労する
- 病気のことがバレてしまうのではないかと不安
一概にどちらが有利ということはありませんが、オープン就労では障害者雇用枠での就職となり、関係機関のサポートや福祉サービスを受けて就職を目指すことができます。
クローズ就労では、そもそも病気を持っていることを告げずに入社するため、就職活動時のハードルだけでなく、入社後の自己管理も自分で行い、必要なサポートも自分で受けにいく必要があります。
うつ病をお持ちの方が安定した就職を目指すにあたっては、オープン就労を視野に就職活動を進めていくほうが安心して活動できるのではないでしょうか。
最後に、オープン就労に向けて利用できる機関やサービスについてご紹介していきます。
就職に向けて相談しよう
相談機関(ハローワーク、障害者雇用サイト、就労移行など)
ハローワーク
ハローワークの正式名称は公共職業安定所です。国が行っている職業紹介事業を提供する場所になります。
ハローワークでは、企業に対して、仕事を探している求職者を紹介することが主な業務であり、民間が運営する一般的な転職エージェントと同じく、求職者の利用だけでなく人材を求める企業の利用も無料となっています。
障害者向け就職サイト
障害者向けの求人サイトは様々な企業が提供しており、一般的な求人サイトだけでなくエージェントがついたりする企業もあります。自身の状態を把握してもらうことができ、相談しながら就職活動を進めることができます。
例えば、atGPという転職支援サービスでは求人検索はもちろん、その他にも面接練習や書類作成、企業間とのやりとりやアフターフォローなど、総合的なサポートを受けることができます。
費用は一切かからず、2,500社にも及ぶ業界トップクラスの求人企業ネットワークと、15年以上にわたるサポート実績があるので、安心して利用することができます。
就労移行支援
障害者就労の福祉サービスとして、「就労移行支援」というものがあります。就労移行支援は、障害者総合支援法に基づく就労支援サービスのひとつです。
一般企業への就職を目指す障害のある方(65歳未満)を対象に、就職に必要な知識やスキル向上のためのサポートをおこないます。
デイケア
病院が運営している事が多く、医療機関との連携が取りやすいという特徴があります。
医療スタッフが常駐している場合も多いので、体調面の不安が大きい場合には安心です。
最後に
ここまでお読みいただいてありがとうございます。
1人で悩むことが何よりつらく、次に進みづらくなるので、早めに相談して自分にあった就職を目指しましょう。
少しでも気になったら、就労移行支援事業所やハローワークなどへ見学や体験に行き、自分との相性を確かめてみることをおすすめします。
また、Puenteでは就労移行支援事業所ルーツとともに障害のある方の就労を応援しています。
ITスキルを中心に完全個別のカリキュラムで訓練することができます。見学・体験・説明会を開催していますので、お気軽にお問い合わせください。