フェリスグループCOO 有限会社イー・プロダクション代表取締役社長
傳石智和 つたいし ともかず
大阪府豊中市出身。
フェリスグループCOO、有限会社イー・プロダクション代表取締役社長を務める。建築関係の仕事に10年間従事した後、当時の有限会社イー・プロダクションに入社。その後M&Aを通じて、フェリスグループの中の1社となり、COOを務める。
株式会社LOGZGROUPのVSP(ビジョンシェアリングパートナー企業)に加盟し、2021年6月1日に大阪府淀川区に就労移行支援事業所ルーツ新大阪を開所。
今回インタビューを行なったのは、フェリスグループCOO、有限会社イー・プロダクション代表取締役社長の傳石智和さん。
イー・プロダクションは、元々パンフレットやカタログのグラフィックデザインなどを行う広告事業が中心の会社でした。今回は、イー・プロダクションの新事業として2021年6月1日に就労移行支援事業所ルーツ新大阪をオープンしました。
一見関係のないように見える”広告事業”と”就労移行支援”ですが、就労移行支援を新規事業として始める裏には熱い想いがありました。
今回は、イー・プロダクションが就労移行支援事業所をオープンするまでに至った経緯や、就労移行支援事業所ルーツ新大阪での取り組みなどについてご紹介します!
目次
就労移行支援とは?
イー・プロダクションが新規事業として始める就労移行支援ですが、皆さんは就労移行支援というものをご存知でしょうか?
就労移行支援とは、障害福祉サービスの一つで、一般企業への就労を目指す障害や難病のある方を対象とした、就労支援サービスとなっています。
障害者手帳が必ずしも必要というわけではなく、医師や自治体の判断で障害者手帳がなくても就労移行支援を利用できることがあります。
就労移行支援とは、一般企業への就職を希望する障がい者に向けて、適性に合った職場探しや、仕事のスキルの向上、就職後の定着をサポートしてくれるサービスです。
(参照元|就労移行支援|厚生労働省)
イー・プロダクション|広告の企業がなぜ就労移行を?
ー今回は、フェリスグループのCOOであり、有限会社イー・プロダクション代表取締役社長の傳石智和さんにインタビューをしました。傳石さん、本日はよろしくお願いいたします。
はい、よろしくお願いいたします。
ご経歴
ーまず初めに、傳石さんのご経歴を教えていただいてもよろしいでしょうか?
はい。若い時からですかね?笑
ーはい、是非お聞きしたいです!
実は、若い時はプロのサッカー選手を目指してたりして、ブラジルにも留学をしていました。ですが、23歳でサッカーはやめて、実家が建築関係の仕事をしていたので、そこから10年くらいは建築関係の仕事をしていたんですね。
そのため、ほとんど会社勤めをした経験がなかったんです。その時に、当時の有限会社イー・プロダクションに運営の方で入ってくれないかと言われ、イー・プロダクションに入社しました。
ーイー・プロダクションは、元々は広告事業などを中心に行っていたとお聞きしました。
そうです。もともとは、紙媒体のパンフレットやチラシを作成していました。グラフィックデザインなどもやっていたり。
昔は旅行チラシが全盛期だったので、たくさん作っていましたね。
ただ、その後イー・プロダクションの経営が怪しくなってしまったんですね。その時に、現在のフェリスグループの田岡社長に相談に行きました。
その後、M&Aを通じてフェリスグループの中の一社となり、COOという立場でやらせてもらって、もう10年くらいになります。
ーなるほど。その中で現在新規事業として、就労移行支援事業を始めたのですね。
はい、その通りです。
就労移行支援事業をやるとなったのは、ここ最近のことですね。
就労移行支援事業を始めるまでの経緯
ー広告と就労移行支援は、かなり異なった事業ですよね。イー・プロダクションが就労移行支援事業を始めるまでの経緯を教えていただきたいです!
もともと会社としては、新しい事業に取り組もうというタイミングではあったんですね。
そこで何をやろうか考えていた時に、弊社の従業員が以前就労移行支援に勤めていたことを知りました。また、その時に就労移行支援に通われていた利用者さんが弊社に実習に来ることがありました。
最初は、障害のある方が実習に来るということで、少し不安な思いもありました。ですが、実際に実習に来てもらうと、すごく優秀な方達でした。
「こんな事業があるのか」とそこで就労移行に興味が湧きました。
ー実際に就労移行を利用している方と関わってみて、障害のある方への印象が変わったのですね。
そうですね。本当によく働いてくれました。
また、今の世の中は人材不足という問題があります。自分の会社でもそうだったのですが、求人を出してもなかなか人が来ないなど、人材を確保するのに苦労している会社も多いと考えています。
日本では、労働人口がどんどん少なくなってきている。そのような時に、就労移行のような事業を行うのは社会情勢的にもすごくマッチしているなと思いました。
ー確かに、障害のある方の就労を支援する事業を行うことによって、働ける人材を世の中に送り出すことができますよね。
そうですね。本当にいろいろなタイミングが重なって、就労移行支援をやることになりました。
ただ、自社で就労移行支援をやるとなると、自分たちで一からやる必要があるなと気づきました。そこでフランチャイズも視野に入れて考えていたところ、ルーツと出会いました。
そこでより、就労移行支援について知り、ルーツのVSP(ビジョンシェアリングパートナー)となって、就労移行支援事業所ルーツ新大阪をオープンしました。
ルーツ新大阪事業所のコンセプト
事業所に込められた想い
ー2021年6月1日にオープンした就労移行支援事業所ルーツ新大阪ですが、ルーツ新大阪のコンセプトを教えてください!
ルーツ新大阪のコンセプトは、「じぶんの可能性に気づく場所を提供する」です。これは、みんなで話し合って作りました。
就労移行に通われる利用者さんの中には、「もう自分はだめなんじゃないか」と自分に対して自信をなくしてしまっている方もいると思うんですね。あれもできない、これもできないと「できない」部分にばかり目が向いてしまったり。
だけど、できないこと以上にできることもたくさんあるはずなんです。ただ、ここは人より得意という部分に気づけずに、できないことばかり見えてしまうんです。
ー確かに、自信がないと、できないところばかり気になってしまいますよね。
そうなんです。だから、就労移行支援事業所ルーツ新大阪では、じぶんの可能性に気づいて欲しいと思っています。じぶんの可能性に気づけていない方というのは、たくさんいると思うので。
そういう方に、気づきを持ってもらえるようなカリキュラムを作ったり、スタッフもサポートをしていければと思っています。そういうところをルーツ新大阪の特色にしていきたいと思っています。
僕は、直接利用者さんと関わることは少ないと思うのですが、事業所を運営していく想いは利用者さんに伝えていきたいですね。コンセプトやカリキュラムなど、なんとなくで決めたものは一つもありません。全てにこだわりがあるので、そこが伝わっていってくれたら嬉しいですね。
事業所へのこだわり
ー内装など、事業所へのこだわりもあるのでしょうか?
内装はフェリスグループ代表の田岡のこだわりで一からデザインしました。
ユーザービリティや動線については、いろいろ工夫しました。例えば、机の位置や幅などですね。
集中しやすいように、座っている人が背と背になるように机の配置を工夫したり、本来机が7つ入るところを6つにして詰めすぎないようにしたりしています。
やっぱり、毎日4~5時間学習する場所が窮屈だと、利用者さんもしんどいと思うので、そこはゆとりを持って集中できるような環境を準備しています。
ルーツ新大阪の学習サポート・就労サポート
動画編集をプロから学べる環境と多様性のある学習サポート
ーどのような学習のサポート仕方を考えていらっしゃいますか?
動画編集の学習環境は手厚くしていきたいと思っています。
弊社に動画提供してくださっている映像制作会社さんが、今回講師としてルーツに入ってくれることになっているので、実際に事業として映像制作をしているプロから学べる環境が設けられると思います。
また、動画編集で就職を考える上で、編集だけではなくて撮影技術も必要になってきます。
事業所周辺へ撮影会に行って、それを基に動画編集をしてみるような課外授業も定期的に行っていきたいなと思っています。
ー映像制作のプロに直接教えてもらう機会はとても貴重ですよね!他に考えているものはありますか?
既存のカリキュラムだけに限定せず、他に学びたいものがあれば学べる環境を整えていき、臨機応変にサポートしていきたいですね。
また、自社で広告をデザイン・運用をしているので、デザイン技術を教えるだけではなく、集客をどのように上げていくのか、効果的な広告をどうやって作っていくかなど、ビジネスとしての考え方をお伝えできると思っています。
デザインすることは目的ではなく、人にメッセージを伝えることが目的ということを伝えていきたいですね。
ーただスキルを身に付けるだけでなく、働く上での本質的な考え方を身に付けることはとても大切ですよね!
一人ひとりのニーズに合わせた就活サポート
ー就職活動の支援はどのようなことをしていくのですか?
弊社で取引してる企業さんとの繋がりで、IT企業やWeb制作・デザインをしている企業があります。
なので、特例子会社のある企業さんだったり、障害者雇用に力を入れている企業さんがいるので、そういったところへ就労に繋げることはできるかと思います。
それ以外にも、利用者さんの働きたいニーズに合わせて、企業開拓の方も進めていきたいと思っています。
また、ルーツから卒業された方の就職先企業さんとの繋がりも持っていきたいですね。
それによって、利用者さんの将来の選択肢を広げていきたいと思っています。
メッセージ
利用を検討している方へのメッセージ
ー利用を検討している方へメッセージをお願いします!
ルーツ新大阪は、企業と利用者さんを繋げる架け橋になりたいと思っています。
実際に人手不足で求人に困っている会社が多くある中で、働きたいのに働けていない方もいるという現状を変えていきたく、私たちで繋げていきたいと強く思っています。
また、ルーツ新大阪は明るくフランクな雰囲気の事業所です。
ルーツを利用する・利用しないに関わらず、少しでも困りごとや相談したいことがある方は是非お越しいただきいですね。まずは気軽にお話しできたらと思っています。
お待ちしております!
社会に向けてのメッセージ
ー最後に、社会全体に向けてのメッセージをお願いします!
労働人口が減少している日本で、才能のある方が仕事を中々継続できてない現状を打開したいという想いが強いので、微力ながら貢献できたらと思い、就労移行支援事業を今回始められたことはとても嬉しいです。
また、「障害」というのは見方一つで「特技」になったりすると思っていて、社会の先入観や偏見をなくしてきたいと私たちは思っています。
そのためにはやはり私たちだけでは解決できないので、私たちの活動を見て共感してくださる方がまた社会を良くする活動をして、その連鎖が続くといいなと思っています。
障害者含め雇用の可能性を広げていきたいです!
就労移行支援事業所ルーツ新大阪は2021年6月1日、本日開所しました。お問い合わせはこちらから。
◆各種情報ご案内
公式LINE:https://lin.ee/dk9ai3G
インスタグラム:https://www.instagram.com/roots_west/
Twitter:https://twitter.com/roots_shinosaka
リタリコ仕事ナビ:https://snabi.jp/facility/22610
【編集後記】
最初は、広告の事業と就労移行の事業は大きく異なっているなと感じましたが、広告の事業を行っているからこそできる支援がありました。
また、「じぶんの可能性に気づく場所を提供する」をコンセプトに、動画編集や撮影の技術など幅広いカリキュラムを準備し、得意なものを見つけられる環境を作り、サポートしているのが印象的でした。
2021年6月にオープンしたので、ぜひお気軽に見学に行ってみてください!
(編集:笹本美結|Twitter)