「利用者さんだけが第一ではない」3店舗運営を通して見えた、支援のカタチ|就労移行ITスクール新事業所開設インタビュー

株式会社FastMotion取締役
藤沢 大樹 
株式会社FastMotion取締役。弟である基樹さんが経営をする株式会社FastMotionにジョイン。2021年4月1日に神奈川県横浜市に就労移行支援事業所ルーツ(現:就労移行ITスクール)横浜駅西口を、2022年4月1日に横浜駅西口第二オフィスを開所。2023年5月1日に3事業所目となる「横浜駅西口第三オフィス」を開所

就労移行ITスクール横浜駅西口第三オフィス 施設責任者兼サービス管理責任者
為金 麻紀子 
就労移行ITスクール横浜駅西口第三オフィスにて施設責任者兼サービス管理責任者。就労移行支援や生活訓練、放課後等デイサービスの勤務を経て、2023年1月からFastMotionにジョイン。2023年5月から、施設責任者兼サービス管理責任者として横浜駅西口第三オフィスの立ち上げを行う。


ここは「社会の厳しさを伝える場」でありたいんですよね。

こう語るのは、株式会社FastMotionの取締役である藤沢大樹さん。

横浜駅で2つの就労移行支援事業所を運営する藤沢さんは、2023年5月に3つめの事業所となる「就労移行ITスクール横浜駅西口第三オフィス」をオープン。

今回は藤沢さん、そして第三事業所の施設責任者を務める為金麻紀子さんにインタビューを行いました。

インタビューを通して見えたのは、お二人の厳しくも優しくまっすぐな「利用者さんへの想い」でした。

自然と会話が生まれる環境。それが風通しのよさを生む

ーまずは第3オフィスオープン、おめでとうございます!

藤沢 大樹さん(以下「藤沢」):ありがとうございます!為金さんが責任者でいてくれてよかったです(笑)
実は、為金さんには一度入社を断られているんですよ。でもどうしてもきていただきたくて…。懲りずに連絡して、入社していただきました。

為金 麻紀子さん(以下「為金」):そうでしたね(笑)

ーここに入社を決めた理由は、なんだったんですか?

為金:FastMotionは経営の基盤がしっかりしていたんですよね。ノウハウがある場所で働きたかった。そこが一番大きいです。
webサイトの運用などいろいろ相談もさせてもらっていますが、しっかり答えてくれるので安心して働けています。

藤沢:嬉しいです(笑)

ー最初から為金さんを施設責任者にする予定だったんですか?

藤沢:いえ、最初は自分がやろうと思っていました。
為金さんは今年(2023年)1月に入社していただいたんですけど、そこから一緒に働いて「あ、俺がやらないほうがいいな」って思ったんですよね。

ー入社して半年経たずに責任者

為金:サービス管理責任者も兼務なので、大変です(笑)。でも自分なりに「いい事業所」を作っていきたいと思っていますよ。

藤沢:為金さんの魅力は「チーム・空気づくりがうまい」というところなんです。為金さんが入ってきてから事業所の風通しが良くなったんですよね。
会話しやすいというか、明るいというか。そういう人って貴重じゃないですか(笑)

ー就労移行だと特に「風通しがよい」というところは重要ですね

為金:そう思います。自分がこれまで働いてきた事業所では、あんまりそういう「風通し」の意識はなかったんです。朝も全然しゃべらないし、利用者さんが帰った後もシーンとしていて…。そうならないために、自分なりに頑張ってみようかなって。

ーどんな会話をされてるんですか?

為金:いやいやもう、なにも覚えてないですよ(笑)。私はアニメやマンガが好きなので、そういう話とか。
記憶にも残らない話なんですけど、そういう会話があるのが大事だなと思います。何か困ったときの報連相もしやすくなりますよね。

「利用者さんだけが第一ではない」本当に寄り添った支援のために


為金:風通しがよくないって、職員のコミュニケーションが取れてない状態だと思うんです。
これまで勤めていた事業所では、職員に負担が重くのしかかって離職に至ることもありました。
あとは、職員間で意見が分かれたときにそのままチームが崩壊してしまうことも…。

ー今回責任者になって、どのような事業所にしていきたいとお考えですか?

為金:私自身「利用者さんだけを第一に考えない」は意識したいなと思っています。
そこだけを考えてしまうと、職員同士の連携がおろそかになって結果的に就活で後手に回ってしまったり、体調を崩した時などに適切なケアができなくなったりしてしまうんです。
コミュニケーションが取れていない・風通しが悪い環境って、利用者さんにも伝わるんですよね。そこから「誰にも相談できない」になってしまうと最悪ですよね。

ー就職してからも相談できなくなってしまいそうですよね

為金:社会に出て、長く活躍してほしい。だからこそ職員同士のコミュニケーションも大事にしたいんです。
職員への教育や、適切な報連相ができるか。いい職員の存在が、結果的にいい支援に繋がります。

ー利用者さんに寄り添う支援のためには、まず職員間の環境改善が必要ということですね

藤沢:為金さんは「問題点への気づき」がすごく鋭い。改善ポイントをズバズバ言ってくれるんですよ。

為金:気になることは遠慮なく藤沢さんに言っていますね(笑)

藤沢:為金さんの影響で、私自身の気づきや行動も変わってきているのを実感しています。めちゃくちゃ信頼しています(笑)
為金さんがズバズバ言ってくれることが、他の職員や利用者さんの「意見・相談のしやすさ」を生んでいるのかもしれません。

私たちのミッションは「架け橋になる」こと

ーこれまで藤沢さんには、第一オフィス・第二オフィス開所の際にもインタビューをしました
【※第一・第二オフィス開所インタビューはこちらから】
就労移行支援事業所ルーツ横浜駅西口|「個人の市場価値向上につなげたい」映像制作のプロだからこそできる支援 就労移行支援事業所ルーツ横浜駅西口第二オフィス|人材育成を通じて雇用を生み出し、社会に貢献する

藤沢:そうですね(笑)。会社についてはこれまでもたくさんお話ししてきたかなと思います。
私たちの今のミッションは「障害者雇用を通して、企業と障害者の距離を縮める」こと。私たちのやり方は、ITを駆使して社会をより良くしていくことです。架け橋になれたらいいな、と。

ー「距離」に関して、今思うことはありますか?

藤沢:それぞれの方向で、少し違いますよね。例えば企業にとって障害者雇用のハードルは「理解」だと思うんです。

ー理解、ですか

藤沢:例えばアスペルガー症候群がどういう障害なのか、目の前の方がどういう特性を持っているのか。
まだまだ企業には「突然暴れてしまいそうで怖い」という気持ちがある。理解がまだまだ必要なんじゃないかなと思っています。

ー企業に理解してもらうためには

藤沢:地道ですけど「伝え続ける」かなと思っています。企業も不安なのは間違いないんです。
私たちに求められているのは「伝え続け、寄り添う」ことなのかなと思っています。企業からいろいろ相談されることも多いですよ。

ー障害者にとってのハードルは、どういうところだとお考えですか?

藤沢:スキルはもちろんそうですが、「自己理解」かなと思っています。この点は、これまで2つの事業所を運営してきて気づいたことですね。
これまでは「動画編集やりたい」という利用者さんがいれば、希望を聞いてそのまま学習してもらうことも多かったんですよ。

為金:自己理解とか、コミュニケーションの講座への参加も自由でしたよね。

藤沢:実際に就職して必要なのって、自分の障害理解やコミュニケーション、通所の安定というところがすごく大きい。
企業が求めているスキルも、そういった「自己理解」スキルだったりするんです。

ースキルがあっても自己理解がないと就職してから大変、ということですね

藤沢:そうですね。就職して1週間や2週間で退職になってしまう人もいました。社員との意思疎通がうまくいかなかったんです。
社員は「A」という指示を出したけど、本人は「B」という解釈をして行動してしまう。それが続いて信頼関係が破綻して退職に至ってしまうこともありました。

ー自分がコミュニケーションが苦手ということを知らないまま就職してしまった

藤沢:私たちから企業に「伝えること」も不足していましたが、事業所での訓練から何かできることはなかったかと考える毎日です。
「やりたいことをやるだけ」ではいけないということは伝えないといけないなと。

「就労移行楽しかったね」だけで終わらせない。社会で活躍し続けるために


為金:「やりたいことだけやる」ではいけないことは、私もここで働いてすごく感じる部分ですね。就労移行はあくまで通過点ではありますが、ここで少しでも得るものがあればいいなと思っています。「働く」という気持ちをどれだけ持てるか。

ーそれが結果的に「長く続けられる就職」に結びつくということですね

藤沢:そうですね。「就労移行楽しかったね」で終わらせないようにしたいですが、だからといって厳しさだけの事業所ではありません。
相談のしやすい風通しのいい環境や、3事業所ごとの連携で利用者さんの「頑張りたい」に寄り添えると感じています。

ー最後に、横浜駅西口第三オフィスを検討している方にメッセージをお願いします

藤沢:社会に出てから困らないように、ここで「社会に出る厳しさ」を感じてほしいですね。
PCや動画編集のスキルを学べるところが私たちの強みの一つです。ただ、他にも大切なことはたくさんあります。
ときにはやりたくないこともあるかもしれません。その経験が、社会に出たときに自分自身を助けてくれます。

為金:利用者さんを送り出してからもらった言葉でいちばん嬉しかったのが「この事業所にいたときの方が厳しかった」というもの。
そのように感じてくれた人の方が長く働けるんですよね。「働く」ということがどういうことか、この事業所で少しでも得てほしいなと思います。

藤沢:この環境でいろいろなことを吸収して、社会に出ていってほしいですね。


【編集後記】
障害者と企業の距離を縮めること、そのハードルを越えるために「社会の厳しさ」を伝える場所でありたいと言い切るお二人。
厳しいだけではなく、その奥にある「社会の舞台で輝けるように」という優しさを強く感じた時間でした。

就労移行ITスクール横浜駅西口第三オフィスは、2023年5月1日にオープンしました。
お問い合わせはこちらから。


(編集|長峰知広)

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