就職に向けて必要な能力とは、具体的にどのようなものがあるのでしょうか。
就職に向けて必要な能力は専門的知識や技術もありますが、まずは自分の生活や自己管理ができることが大切です。この記事では、安定した就労に向けて、どの様な準備をしていけばいいのかを解説します。
就労移行ITスクール横浜関内の支援員として働いています。支援員の目線からわかることをお伝えします!【監修】長谷川純子
就労移行ITスクールの四ツ谷拠点でサービス管理責任者として働いています。福祉に携わって20年です。
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目次
職業(就労)準備性ピラミッドとは?
これは、職業(就労)準備性ピラミッドと呼ばれるものです。これは、「健康管理」「日常生活管理」「対人技能」「基本的労働習慣」「職業適性」の5つの能力をピラミッドの形状にして表しています。
就労するためには、さまざまな力を身に付けることが必要です。例えば、毎日体調を崩さず通勤できること、薬を医療機関に指示された通りにしっかり服薬できることなどです。こうした「就労するために必要なこと」は『就労準備性』と表現され、働くことについての理解・生活習慣・作業遂行能力や対人関係のスキルなど基礎的な能力のことを指します。これは、職種、障害の有無を問わず、働く上で必要とされます。
(出典元|障害者雇用ドットコム)
「健康管理」「日常生活管理」「対人技能」「基本的労働習慣」「職業適性」の5つの能力は、それぞれどの様なことを示しているのでしょうか?
一つずつ確認してみましょう。
STEP1:健康管理
「健康管理」は、ピラミッドでいう一番土台の部分となっています。つまり、健康管理は元気に働き続ける上での土台となるとても大切な能力となっています。
健康管理とは、「自身の障害や病気について正しく理解し、体調を維持できる」ことをいいます。働く上で、自身で体調不良などを防いだり、自分自身での解決が難しい場合は、他の人に配慮を求めることなどは大切です。
健康管理ができていないと、病気や障害の症状が悪化し、休職または離職をしてしまう可能性もあります。そのようなことは避けたいですよね。
健康管理ができていると、体調不良などに悩まされることが少なくなります。その結果、安定した就労を継続することが可能です。
健康管理ができている状態とは、以下のことをいいます。
- 定期的に通院し、服薬がきちんと守れる
- 体調不良時に適切に対応できる
- 自身の病気や障害、それらの症状について理解している
- 状況や必要に応じて医療機関を利用できる
STEP2:日常生活管理
「日常生活管理」では、夜しっかりと寝て、朝決まった時間に起きるなど規則正しい生活ができる能力のことをいいます。
どれだけスキルが高くても、遅刻や欠勤、寝不足などが続くと、働き続けることは難しいですよね。働いていく中で、休まずに決まった時間に出勤をすることはとても大切です。
実際に就労が始まると、自分を取り巻く環境は大きく変わります。一人暮らしを始める、電車で毎日通勤をするようになる、外に出る時間が長くなる、朝起きる時間が変わるなど人によって様々な環境の変化が起こります。就労による環境の変化は大きく、誰でも少なからず負荷のかかるものです。
就労の準備段階で日常生活管理がしっかりできていることは前提ですが、実際に就労が始まる状況を考えて、家族の協力を得たり、住んでいる地域の福祉サービス、社会資源などを活用をするようにしましょう。
日常生活管理ができている状態とは、以下のことをいいます。
- 規則正しい生活リズムが送れる
- 金銭管理ができる
- 服装や身だしなみ(お風呂、歯磨き等)が整えられる
- 移動能力があり、日常生活を送ることができる
STEP3:対人技能
日常生活と同様、職場においての対人関係は重要です。
職場でのコミュニケーションは常に受け身ではいけません。「言われたことだけやる」「言われなかったからやらない」という受け身の姿勢ではなく、主体性を持って行動をする必要があります。例えば、仕事をしていく上で、分からないことを自分から質問したり、自分の意見を発信していくことが大切です。
また、働く上で協調性も大切になってきます。「自分の意見が正しい」の意見を主張しすぎる、周りの意見を受け入れないといった行動は、働く上でトラブルにも繋がりやすくなってしまいます。相手の立場や、行動を理解し、コミュニケーションをとることも、対人技能の能力の一つになります。
対人技能が身についている状態とは、以下のことをいいます。
- 感情のコントロールができる
- 挨拶や返事などが適切に行える
- 自分の意見を適切に伝えられる
- 注意されたときにも、謝罪ができる
STEP4:基本的労働習慣
障害の有無に関わらず、働く際に欠かせないものの1つが「基本的労働習慣」です。
ビジネスマナーを身に着ける、「報・連・相」ができるようになる、会社や社会のルールをしっかり守るなど、社会人として身に付けておきたい能力を基本的労働習慣といいます。
ビジネスマナーの基礎知識を理解し、実際に行動に移せる状態が必要になります。ビジネスマナーは数多く存在しており、仕事をしていく上での基本的な心得や身だしなみ、敬語、電話対応などがあります。実際に働き始める前に、インターネットや書籍などで知識を身に付けておくようにしましょう。
また、会社には、守るべき基本的なルールが存在しています。就労をする際には、自分の会社にはどのようなルールや決まりが存在するのかをしっかりと把握し、ルールを守って働くようにしましょう。自分が引き受けた仕事だとしても、自分勝手に取り組むのではなく、指示やルールに沿って進めていくことが大切です。
基本的労働習慣が身についている状態とは、以下のことをいいます。
- 報告・連絡・相談がきちんとできる
- 身だしなみや敬語などのビジネスマナーを守ることができる
- 仕事をする体力と集中力がある
- 決められたルールを守ることができる
また、基本的労働習慣の中に含まれるマナーは、就職活動時の面接などでも大切になってくるポイントです。
就職活動に入る前に、必ず身に付けるようにしましょう。
職業適性
「職業適性」は、業務を行う上で必要な適性能力を指します。
職業適性は、実際にどのような仕事に就労をするかによって異なります。仕事の種類によっては、正確さが求められることもあれば、速度や効率が必要とされることもありますよね。
そのため、自身の職業への適性を把握した上でどのようなスキルを身に付け、どのような仕事をしていきたいのかを考えていくことが大切です。
職業適性が身についている状態とは、以下のことをいいます。
- 職務への適性、持続力がある
- 職務遂行に必要な知識、技能がある
- 作業の質や正確度が高い
就職をするうえで、もちろんスキルや資格を身に付けることも大切ですが、安定して働けるようになることが一番です。
努力してスキルや資格を手に入れても、職業準備性が整っていないと、安定した就労は難しいですよね。
そのため、まずは健康管理や日常生活管理がしっかりできることが重要になります。その後、対人技能としてコミュニケーション力などを高め、基本的労働習慣を身に付けます。就労準備性ピラミッドに沿って徐々にステップアップしていくことが、安定した就労へと繋がっていきます。
職業(就労)準備性を高めていくための3つのステップ
上記のように職業準備性とは、「仕事に共通する、社会人の基礎能力」と言えます。今回は職業(就労)準備性を高めていくための3つのステップをご紹介します。
身近な人や専門的な知識を持った人に相談する
まずは身近な人や専門的な知識を持った人に相談をしてみましょう。
自分を変えていくには、一人で悩まず周りのサポートを受けることが大切です。自分はどんな状態なのか、どのようにしていったらいいのかなどを相談できる場所を見つけ、話を聞くことから始めてみましょう。かかりつけ医などの医療機関や、就労移行支援事業所などの福祉サービスで相談をすることで的確な回答がもらえるでしょう。
自己理解を深める
自己理解を深めていくことも大切です。これは、ひとりで考えるのも良いですが、人に話を聞いたり相談をしながら進めていくとスムーズです。
自分の生活習慣や、働く上での自己分析、就職までの道のりなど見直すポイントは様々です。周りの人との対話や時には自分と時間をかけて向き合うことで自分がこれからするべきことを見つけていくことができるでしょう。
課題を知り少しずつ変えていくための支援を受ける
自分にとっての課題がわかってきたら、行動に移していくことが大切です。もちろん、自分一人で最初から全てこなそうとする必要はなく、お医者さんとの連携や就労支援機関の支援を受けながら仕事に向き合える態勢や環境を整えていきましょう。
特に就労移行支援事業所では、就職エージェント等の機関が就職活動に対してのサポートを行うのと異なり、利用者の方との面談などを通じて訓練内容を一緒に考えていったり、就職へのサポートを受けられたりすることができます。
生活習慣の改善から、自己分析、就職活動まで一貫した支援を受けることが可能なため、ご自身の状況に応じて使い分けると良いでしょう。
【障害者雇用】おすすめ転職サイトまとめ
就労準備性が整ったら、いよいよ就職活動です。求人は、いろいろな求人サイトやハローワークなどで探すのが基本です。
障害者雇用での就職を考える場合は、ハローワークの障害者専門窓口や、障害者雇用に特化した求人サイト・エージェントに登録をするようにしましょう。
今回は、現役の就労移行支援員が選んだおすすめの転職サイトを3つご紹介します。ぜひご登録ください。
エラビバ
在宅でカウンセラーに相談
エラビバのエージェントは、非公開求人を紹介してもらう際の面談を自宅で受けることができます。
エージェントの中には、直接会って面談をしなければならないところも多い中、ネットで面談を完結できることはエラビバの強みになっています。
コロナ禍でなかなか外出がしづらい状況下ではありますが、外出することなく、安心して面談を受けることができます。
就労移行支援、就労継続支援A型・B型事業所を探すことも可能
エラビバでは、全国にある就労移行支援、就労継続支援の事業所を探すことが可能です。
「働きたいけど、まだ自信がない..」「就労をする前に準備期間を設けたい」
このように考えている方も多いのではないでしょうか?そういった時は、就労移行支援の利用がおすすめです。
エラビバでは、地域ごとに就労移行支援、就労継続支援の事業所を検索することができます。18800件以上(2021年2月時点)の事業所を紹介していますので、いろいろな事業所を比較検討する事が可能です。
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atGP
障害者の就職支援実績No.1であるatGPの企業ネットワーク
障害者雇用支援サービスの15年以上にわたるサポート実績と、2,500社にも及ぶ業界トップクラスの求人企業ネットワークがあります。求人数は公開求人、非公開求人を合わせて2,000件に上り、求人数の多さが強みです。
充実の面接サポート
atGPでは、面接や書類作成のサポートから、入社後も自分らしく安心して働き続けるためのサポートも受けることができます。
atGPは、膨大な数の企業データを持っているため、その企業が求める人物像などに合わせて面接対策をすることができます。企業に合わせて面接対策ができることで、面接の精度を高めていくことができます。
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dodaチャレンジ
障害の種別に合わせた支援
dodaチャレンジでは、障害(精神・身体・発達・知的)の特性に合わせた専門チームがあり、エージェントサービスではその専門チームで支援をしていきます。障害に対して豊富な知識をもつキャリアアドバイザーが、一人ひとりの状況や希望に沿った支援をしています。
安心できる条件の求人が充実
dodaチャレンジは非公開求人が豊富にあります。dodaチャレンジのサイト上で検索できる求人は500件前後ですが、それを大きく上回る数の非公開求人があります。
dodaチャレンジは、パーソルグループが運営元です。非公開求人の中には運営元のパーソルグループが開拓した優良企業の求人が多くあり、安心できる条件の求人が充実していることがdodaチャレンジの強みとなっています。
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BABナビ
経験豊富なキャリアカウンセラーからのアドバイス
BABナビには、経験豊富なキャリアカウンセラーが在籍しています。
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会社のやめ方や、履歴書・職務経歴書の書き方、自己分析のやり方、企業研究のやり方など様々テーマでノウハウが準備されているので、自分の状況やペースに合わせて読んでいくようにしましょう。
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最後に
今回は、職種や障害の有無に関わらず、就労を目指すために必要な「職業準備性」、「職業準備性ピラミッド」についてご紹介していきました。不安を抱えたまま、あるいは焦ってしまいながら就職活動を始めるのではなく、自分に合ったペースで継続していくことが、結果的に自分の目指す働き方に結びつきます。そのためにはもちろん、一人で悩まずに周囲に支援を求めることは大切です。
Puenteでは、就労移行ITスクールとともに障害者の方の就労を応援しています。基礎的なPCスキルやプログラミング、デザインスキルの習得だけでなく、障害理解や生活相談、面接対策など、その方に合った就労に向けてサポートしています。「障害を理解しながら就職活動をしていきたい」、「自分に合った働き方が分からない」などありましたら、ぜひ一度お問い合わせください。