就労移行支援事業所ルーツ千葉|「ここに来て、まずは楽になって欲しい」現役のIT企業社長が語る福祉への熱い想い

株式会社ステッピング・ハウプ代表取締役
島田 篤史 しまだあつし
1982年生まれ。東京都出身。
株式会社ステッピング・ハウプ代表取締役。以前は、メーカーのエンジニアをしており、そこから営業、子会社の立ち上げを経て、2018年に株式会社ステッピング・ハウプを立ち上げる。子供の虐待のニュースにモチベートされ、面会交流と学習遅滞の子どもを支援するボランティアに参加。株式会社LOGZGROUPのVSP(ビジョンシェアリングパートナー企業)に加盟し、2020年12月1日に千葉県千葉市に就労移行支援事業所ルーツを開所。

皆さんは、就労移行支援というものをご存知ですか?

就労移行支援とは、障害福祉サービスのひとつで、一般企業への就労を目指す障害者の方を支援する施設です。

今回インタビューを行ったのは、株式会社ステッピング・ハウプの代表取締役の島田さん。株式会社ステッピング・ハウプは、2020年12月1日に千葉県にルーツ千葉を開所します。

島田さんは、エンジニア・営業職を経験後、株式会社スタイル・フリーを立ち上げ、実際に障害者雇用も行っていました。

今回のインタビューでは、島田さんの福祉に対する熱い想いや、利用を検討している方へのメッセージを頂きました。

就労移行支援に携わるまで

経歴

ー本日は、よろしくお願いいたします!まず、これまでのご経歴ついてご紹介いただけますでしょうか。

はい、よろしくお願いします。

僕は、以前はメーカーで組み込み系のエンジニアとして、開発を3~4年やっていました。

その後、公共系の営業職に転職しました。そこからもっと成果主義で厳しい世界で営業をしてみたくて、会社を移りました。

その会社で、エンジニア経験があること、営業でも結果が出ていたことから、株式会社スタイル・フリーという子会社の立ち上げに抜擢していただきました。そこでは、システム開発やエンジニアの派遣、メディア作成やゲーム開発をしていました。

その後代表を退任して顧問という形になり、2018年12月に株式会社ステッピング・ハウプを立ち上げまして、2020年12月1日に就労移行支援事業所ルーツ千葉を開所します。

就労移行支援に携わるまでの経緯

ーありがとうございます。それでは、就労移行支援事業に携わるまでの経緯を教えていただけますか。

僕は元々、独立願望が全くないタイプなんです。だから会社を立ち上げた時に、何のために立ち上げたのか、理由が明確になくて。

改めて今自分は何をしたらいいのかなと考えた時、福祉が浮かんできました。

ーそうだったのですね、どうして福祉が浮かんだのでしょうか?

何をしたら良いのかを考えたタイミングで、目黒の子供の虐待のニュースが起き、虐待などが社会問題になっていました。そこで虐待などの社会問題の解決に対して、モチベーションが上がる自分を感じ、それがきっかけで福祉の事業をやろうと思いました。

最初は肉体的、経済的に恵まれなかったり、不利な立場にある子供を救済していく事業をイメージしていたんですよね。

そこでまず、現場を知るためにボランティア団体に2つ参加しました。

1つ目は、面会交流です。離婚した夫婦にお子さんがいらっしゃる場合、その間を繋ぐ第三者機関のボランティアをしていました。

もうひとつは、学習が遅れている・滞っている学習遅滞の子供たちを支援するボランティア団体です。学習遅滞とは、学習が遅れている、滞っているという意味なのですが、学習遅滞には貧困が関係していることが多いです。

今、貧困に該当してる子供が7人に1人います。人数にすると、200万・300万人。中には、兄弟の世話したりとか、最悪だと小学生から働いていたりいます。

そういったボランティアに参加する中で、福祉業界のマネタイズのしづらさや現状の大変さを感じました。

ーそこから、なぜ就労移行支援を開業しようと思ったのでしょうか?

そう考えていたタイミングで、LOGZGROUP株式会社の古徳さんから連絡をもらいました。

VSP(ビジョンシェアリングパートナー企業)として、「障害という線引きをなくす」というミッションを共有し、就労移行支援を開所してくれる会社を探しているというお話でした。

VSPなら、自分のITの経験を活かしながら福祉に携われます。また、僕も福祉事業のマネタイズのしづらさを感じましたが、就労移行支援は安定性や収益性が高い。

そのことから、すぐにやりますとお返事して就労移行支援に携わることになりました。

ーそうだったのですね。将来的にはその子供の福祉に携わりたいみたいな思いもあるのですか?

もちろんです。恵まれない子供だったり、具体的経済的に不利な状況になってる子供を救済する事業を始めたいと思っています。

大人って、割と自分で判断できるし、行動できますよね。ですが、小さい子ども達は、経済的にはまだ力がない、自活力が全くなく不利な状況です。そういう子ども達を救済したいなという思いがあります。

具体的に何したいかというと、僕が経験してきたITサービスだったり、事業のノウハウを生かして、まずそういう子どもを発見するサービスを作りたいです。

普通に生活をしていると、他の家の状況なんか全くわからないじゃないですか。ですが、ご家族がいらっしゃって、お子さんがいらっしゃった時に、あまりその子供にとって良くない状況になってる可能性もあるんですね。そういった状況って、絶対に表に出づらいんですよ。

これを発見するサービスを作りたいなと考え、現在進行しています。

未経験からIT企業へ踏み出せる場所、ルーツ千葉

ルーツ千葉に対する想い

ーありがとうございます。次に、ルーツ千葉の理念やコンセプトについてお聞かせいただけますか?

千葉市を代表する、そんな就労移行したいなと思ってます。

まず、千葉市っていう場所ではすごくいい、巡り合いのある物件をお借りさせて貰いました。千葉市を代表するってのは場所もあるのですが、当然中身も問われるところだと思います。

ルーツ千葉では、まず最初に、利用者さんに楽になって欲しいと考えています。

障害がある方の中には、ただ精神的に弱いと自分のことを思ってたり、コミュニケーションが苦手と思ってる方が多いと思います。ですが、この二つは技術でどうにでもなると僕は思っています。そういったところを理解してもらって、1回楽な気持ちになって欲しいです。

コミュ力とかって言うじゃないですか。すごい才能が込められた様に聞こえる言葉だと思うのですが、コミュ力っていうのも技術だと考えています。

技術ってのは別に難しい技術ではなくて、朝挨拶するとか、そういうレベルの技術のことです。

自分の才能がないとか、自分が劣等だからいけないとか、そんなことはない。そのことを理解して欲しいし、わかって欲しいなと考えています。今現状がどんなに悪くても大丈夫っていうのを伝えて、支えていきたいですね。

内装へのこだわり

ー内装へのこだわりはありますか。

内装に関して言うと、ここに来たときに、結構運命を感じました。

ー部屋の形が一部丸みを帯びていたりして、不思議な形をしていますよね。

そうです。この中丸みを帯びてるところをオフィスにしようとするとすごく使いづらいんですよね。ですが、就労移行支援事業所にすると、すごく良い場所です。

片方はPCエリアにしています。あえて壁際にして、なるべく集中できるようにしています。

もう片方は、太陽光がたくさん入ってきて、すごく明るいじゃないですか。開放感を感じますよね。こちらの方は、人の交流エリアにしようと思っています。交流して何か見つけていったりとかっていうスペースにしていきたいです。

ーそうなんですね。他にもこだわっているポイントはありますか?

はい、内装ではないかもしれませんが、清潔さを意識しています。清潔の保ち方も、利用者さんが会社でうまくやる為の大切なポイントを取り入れています。

まずは現状を確保するということ。

例えば、机や床にゴミが落ちたら、自分のゴミではなくても、当然拾って捨てる。手洗いとかも使ったら次の人が快適に使える様にきれいにする。

利用者さんの苦にならない程度に意思の仕方としてこだわっていきたいです。

ルーツ千葉の学習・就労サポート

自分で学習できるようになるための学習サポート

素敵ですね。ありがとうございます。
学習のサポートの仕方はどの様にしようと思っていますか。

僕もエンジニア経験があるので、基本的にはITスキルを身に付けられることを前提にしています。

僕はIT業界では、経験が豊富だと考えています。そのため、業界のいろんなことを伝えいきたいですね。

例えばプログラミングを身につけたいとなった時に、一番大事なことって、自分で勉強できるようになるということなんですよ。

例えば、今から大工を目指すとします。その時にまず思うのって、何から始めたらいいのかじゃないですか。そういうところは、最初は全くわからないですよね。

その辺は手取り足取り教えてあげる必要があると思っています。そこから、学習の仕方を自分の中でノウハウ化してもらう。そうするとある程度自走できるようになるんですよね。

そこまでをサポートする。ある意味でサポートが必要なくなるまでをサポートしようと思っています。

一番強い人って、人が見てないところで自分で勉強できる人なんですよね。それは最強です。これはどの世界でも一番強い武器だと思っているので、自分で勉強ができる力を身に付けられるようにサポートしていきたいですね。

障害者雇用の経験を生かした就労サポート

具体的に就労の支援はどういったことをしていくのですか?

そうですね、就労のために、身に付ける必要のある技術を教えていくことで、支援をしていこうと考えています。

例えば同じエンジニアって言っても20年前のニーズと今のニーズって全く違うんです。

僕は、別事業で常に生のITの世界と触れ合っています。そこから、今最も必要とされる技術や、今最も求められる人材などをある程度把握しています。

そのタイミングによって、今これを学んだ方がいい、こうした方がいいとか。今だったら例えば、データサイエンティストって職種がすごい年収高いのですが、そういう情報など、就労しやすいITの世界やwebの世界を伝えていけるかなと思います。

また、僕のエンジニアの経歴であったり、スタイル・フリーの経営をしていたことから、IT業界の繋がりが豊富です。そういったところで、企業に繋げたりなど支援はしていけると考えています。

ー就労のサポートの仕方として、他には何かありますか?

利用者さんとして来る方の中には、社会で上手く適用していきたいという思いがある方もいると思います。

そうに考えたときに、僕がIT業界にずっといた経験を生かして、どういう人が上手くいっているのかなどの、スキル以外の面の業界的な情報を伝えることでサポートをすることができます。

僕はスタイル・フリーで、就労移行支援事業所ルーツから障害者雇用で障害者を採用した経験もあります。双極性障害やてんかんなど、今までいろんな障害のある方を採用してきました。またその時は、部下が200人程いたので、どういう人間がいて、どういう過ごし方があってというのを、200パターン見てきました。

障害の有無に関わらず、優秀な方がキャリアアップしていく。そんなところもよく見てきています。

そういったところから、あなたはこれが合っていると思う、こうやると上手くいくなどを、経験を元にして伝えていけると思います。

ルーツ千葉だからできること

ー島田さんがIT業界に従事しているからこそ、できることはありますか?

基本的にうちの事業所を利用したいなっていう方の中には、社会的に劣等感を持つ出来事があったりとか、心にダメージを抱えてる方が多いと思います。そういう方って恐らく、自分が至らない理由を過度に大きく捉えていると思うんですね。

全くそんなことはないんですよっていう良い意味での現実を、まず本人たちに伝えて、楽になって欲しいです。

変に前向きになって欲しいとかではないですが、そんなに現状をマイナスに見ることもないし、焦ることもない。そういうふうに思ってもらえる場所にしたいなと思っています。

特に場所が千葉市なので、IT業界の現状はここら辺に住んでるとほとんど見えないんですね。ITって現場は東京がメインなので、千葉だと、地域的になかなかITに触れづらい。

触れづらいものってすごく美化されやすいじゃないですか。例えば芸能界とか美化されたりしますよね。

IT業界において「そんなことないよ」といういい意味での現実を、千葉市という場所で、普段東京にいる僕が伝えていこうと思います。

利用を検討されている方へのメッセージ

ーありがとうございます。最後に利用検討している方にメッセージをお願いします。

うちの事業所は、本当に誰でもOKします。

どんな方でも。どんな方でもというのは、性別・年齢ももちろんですが、俺まだ駄目かな、私まだ早いかなと感じている方に対して、ここの事業所は安心して利用してもらって大丈夫ですと伝えたいです。

きっかけとして、踏み出せていない方もいらっしゃると思います。特にITとかは見たことがないために、自分とは関係ないと分別している方もいらっしゃるんですね。

僕は、障害のある社員と現場で触れ合ってきましたし、健常の方よりも優秀になる姿をみてきました。そのため、障害のある方を受け入れるための経験値があるので、安心して来て欲しいです。

逆にそんな肩肘張らず、気軽に来て欲しいですね、幸いスペースもこんなに広いので。

お茶しに来るぐらいで来てもらって良いです。5分でも10分でも良いから、とりあえず来てみて、ちょっと居心地悪いなと思ったら今日は帰ろうとか。

来てくれれば、変に否定されたり、外部扱いされることは絶対ないです。ぜひ、お気軽にお越しください。

就労移行支援事業所ルーツ千葉は2020年12月1日に開所します。お問い合わせはこちらから。

 

【編集後記】

インタビューをしていく中で印象に残ったのが、島田さんの「楽になってもらいたい」という言葉。就労移行支援に対してハードルの高いを感じてしまい、一歩踏み出せていない方もいらっしゃると思います。ルーツ千葉の「お茶しに来るだけでもいい」という気軽さから、一歩を踏み出すことができる方が増えることを願っています。見晴らしのよく、開放感のあるとても素敵な事業所です。ご興味のある方は是非一度お問い合わせください!

(編集:笹本美結|Twitter)

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