麻酔科専門医みおしんに訊く「withコロナ時代」とのつきあいかた

麻酔科医みおしん

「どんな痛みがあっても1人じゃないよ。」

線維筋痛症はもちろん、様々な痛みや生きづらさに寄り添う、みおしんさん。取材のあとに、withコロナ時代の生き方・繋がり方についてお伺いしました。

誰もがその人らしく暮らせる社会には、「心のバリアフリー」が大切です。

お互いのことを理解し、リスペクトできるようになったとき、私たちの繋がりは思いもしなかったかたちで結ばれることがあります。

こちらでは「生きづらさ」と「コロナ」をテーマに、みおしんさんが語った「それぞれとのつきあいかた」についてご紹介します。

「生きづらさ」とのつきあいかた

WHILL

「生きづらさ」を抱える当事者へ向けてのメッセージ

色んなひとから色んな事を言われると自分の考えに自信が持てなくなり、負のループから抜け出せず、生きていくことが嫌になってしまうことがありますよね。わたしもそんなことばかり考えていたこともあります。

言葉が強い人たちの声は大きく、自信にあふれているので引っ張られやすいですが、世の中を知れば知るほど、価値観も多様化しているので、意外と断定できる物事は少なかったりします。

なにか心がざわつた物事に出逢ったときは一度、「言葉が強い人たちは、その世界しか知らないだけかも」というフィルターをはってみましょう。真に受けすぎずダメージを和らげることができるかもしれません。(わざわざ探しにいくのは避けましょうw)

もうひとつ、自分自身を変えることは難しいですが、思考の癖を変えてみるのもおすすめです。

「もうだめだ」「もう無理」「どうせ出来ない」という思考になったら、その瞬間に、「まだだめなだけだ」「もしかしたらできるかも。できちゃったらすごいかも!」という未来志向型に切り替える。

自分へのハードルを少し低くしてあげるイメージです。未来の目標を設定すると「それをするためには今なにをすればよいか」考えるようになり、ダメな自分を考える時間が減る。一種の認知行動療法ですかね。

小さな行動の積み重ねでだんだんと自分のことを好きになれたり、自信がもてたりします。完璧に見えても実は不完全なのが人間で、そこに魅力があったりします。

たくさん失敗していい。後悔してもいい。人との関わりの中で、また自分と言う人間が見えてきます。自分なりの答えを見つける力や才能は、ゆっくり育てましょう。

友だち、家族、周囲ができること

アドバイスしすぎないことが大切かもしれません。私も困っている人がいると、ついついなんとかしてあげようとしてしまうのですが、結局答えは本人の中からしか生み出せないことが多いです。

ですから、あまり思い切り「なんとかしてあげよう!」と踏み込み過ぎないで、「どうしたいの?」というかたちで寄り添ったコミュニケーションを意識すると周りの人も疲れすぎないで一緒に進むことができるかと思います。

繋がりを求めるひとへ

「Full Heart vol.1」
(WITH ALSを知ったイベント「Full Heart vol.1」)

好きなことをしていく中でつながろう

好きなことに夢中になることで、いたみを緩和したり一瞬忘れたり、ひとりの時間を楽しめるようになります。さらに、好きなことを介してつながる人たちとは、親和性が高く仲良くなりやすかったり、その中でのコミュニケーションに、病気や障害、自分の抱えている問題とは切り離され、自然な友情が生まれていきます。

 
多くのひとが誤解している、楽しむことは贅沢だとか、楽しむことへの罪悪感を感じる必要はありません。だれかを傷つけるようなものでなければ、思う存分好きなことを心置きなくやってください。

コロナとのつきあいかた

このコロナの大流行が収まった後にも、PTSD(心的外傷後ストレス障害)など多くの方々が心に傷を抱えることは明白で、今の段階からメンタルヘルスが非常に重要です。

自分の心のよりどころを確保、死守しましょう。情報が氾濫して、WHOがこの現象を「インフォデミック」と名付けるほど混乱しています。時代の変化を受け入れ、制約の中でできることを探して、実行する力を身につけましょう。

最近の日本では、ようやくSNS上での誹謗中傷問題を大きく取り上げるようになり、世界では#Blacklivesmatterという人種差別に対する抗議デモが激化しています。人間の負の部分が共鳴しやすくなっていますね。

しかし、ただただ、不安になったり、イライラしてしまうだけでは歴史を繰り返すだけです。無意識に情報が流れ込んでくるのなら、意識的に自分なりに調べて学び、情報を選別する力を育てることで、「同調圧力」「誹謗中傷」から1人1人が抜け出し、発信の仕方も変わってきます。

インターネットを通して色んな分野を学べる現代こそ、充分良い方向へ転換できる可能性はあります

最後に

みおしん

最後は、私が頼りにしている団体のプロジェクトをご紹介します。

悪意に翻弄されやすいですが、その裏では、実はしずかに、こうやって良いエネルギーを持った人たちが強くつながり、思いやりとリスペクト、愛情が育まれています。

ぜひ、のぞいてみてくださいね。

(編集:伊藤弘紀|Twitter)