「就労移行支援通ったけど就職できなかった」という声を聞いて、就労移行支援を利用するのをためらっていませんか?
この記事では、就労移行支援を利用しても就職ができない理由を現就労移行支援員が解説します。
また就職の成功のために大切な3つのポイントについても紹介します。
Puente編集部
元就労移行支援員で構成されているメディアです。
全国の就労移行支援事業所の紹介はもちろんのこと、就労移行支援員で培った経験、ノウハウを基に障がい者向けの就職や日常生活に役立つ情報を発信しています!
目次
就労移行支援とは?
就労移行支援とは、一般企業への就職を希望する障がい者に向けて、適性に合った職場探しや、仕事のスキルの向上、就職後の定着をサポートしてくれるサービスです。(参照元|就労移行支援|厚生労働省)
利用対象者
・身体障害、知的障害、精神障害、発達障害、難病のある方
・65歳未満の方
・一般企業へ就職したいと考えている方
就労移行支援は障害者手帳の有無に関わらず、就職に困難が認められる方も、医師や自治体の判断などにより利用することができます。
利用料金
前年度の世帯所得によって変化しますが、多くの方が無料で利用しています。ですので、負担が少なく無理なく通い続けることが可能です。
就労移行支援を利用しても就職できない理由
就労移行支援事業所ルーツの就労移行支援員の真仁田護さんにお話を伺いました。
真仁田護さんは四谷拠点に勤務し、職業指導員として、スキル面の指導、就職までのスケジュール作成、企業開拓、卒業生の定着支援、就活時の面接同行といった就職に関わること全般に関わっていらっしゃいます。
通所が安定しない
真仁田さん
就労移行支援への通所の段階で急な遅刻や休みが多いと、私たち就労支援員は「このまま就職しても、遅刻や欠勤が続き、仕事が長く続かない」と思い、就職を勧めるのを遅らせるときがあります。
また企業側も、通所時の遅刻や休みの理由を気にしています。
遅刻や休みをせずに安定して通所した実績があると、面接でも高評価に繋がります。
就活に受け身である
真仁田さん
利用される方の「就職して自立したい」という主体的な気持ちが大切なので、本人の意向がないと就職活動でも上手くいかないことはあります。
就労移行支援は、安定した就労をサポートする福祉のサービス。私達はあくまでもサポート、全てを決めるわけではありません。
利用される方の「就職したい」という気持ちが前提となります。
「こんな仕事をしてみたい」「このようにキャリアを積んでいきたい」という気持ちがあって初めて、就労移行支援というサービスを最大限に生かすことができるのです。
そもそも自分に合った就労移行支援に通えていない
真仁田さん
マッチングに問題があるのではと考えています。
例えば、
・IT職に就きたいのに、ITスキルのカリキュラムのない就労移行支援に通ってしまっている
・自宅から電車で何時間もかかる就労移行支援に通ってしまっている
この場合、自分と就労移行支援の間にミスマッチがおきてしまっています。
自分に合った就労移行支援に通うことが就職成功への近道です。
ルーツの場合ですと、ヒアリングした内容から他の施設やサービスの方が望ましい場合は、そちらもご紹介しています。
就職を成功させるために大切な3つのポイント
真仁田さん
就職を成功させる上で大切なことは3つあります。
1つ目が障害理解、2つ目が勤怠の安定、そして3つ目がコミュニケーション力になります。
これらは面接の段階でも採用担当の方から見られる部分で、一つだけでも欠ければ就職につながりにくくなってしまいます。
それぞれ詳しく説明していきます。
障害の特性を理解する
障害への理解がしきれていないということは、自分が何をできてできないのか、自分がどのような環境なら長く働けるのかを把握できていないことになります。
これは対人トラブルや業務上でのミス、ご自身の過度なストレスに繋がります。たとえ就職できたとしても、長く働き続けられないといった問題がでてきます。
そのため就職する前に、自分自身のことを理解することが重要です。
ただご自身と向き合うことは、決して楽ではありません。
そうした時に、一緒に向き合ってくれる人がいるといないのでは、大きく違うように感じています。就労移行支援の利用し、私達支援員をぜひ上手く活用してほしいと思っています。
そして就労移行支援に通いながら、自分にできること・できないことを把握し、企業や周囲の人にどのような配慮を求めれば、自分が長く働き続けることが出来るかを認識していきましょう。
勤怠を安定させる
勤怠が安定していないと、お仕事を任せて大丈夫かと企業側も心配になってしまいます。
そのため勤怠の安定は働く上での基盤です。
ただこれは週5日必ず働けるようにということではなく、あくまでご自身が希望されている働き方に基づいて設定されるものです。例えば、週3日、25時間働くことを希望されているのであれば、そこに向けて安定した勤怠を継続できるかどうかが重要になります。
就労移行支援では、働きたい業務日数を踏まえて、就労移行支援に通う勤怠はどれくらい安定していなくてはいけないのかを、私たち就労移行支援員と一緒に考えます。
就労移行支援の通所を通して、勤怠の安定を促進することができます。
コミュニケーション力をつける
コミュニケーションを円滑に行えるかは人事の方も気にされています。
これは色々な障害者の方と働くケースが多いためです。その方々と上手く連携をし仕事をするためには、コミュニケーションが必要不可欠です。
またコミュニケーションが上手くできないと、仕事に支障がでたり、人間関係が上手くいかなかったりと、結果的に仕事が長く続かない傾向にあります。
就職のためにも、就職後の定着のためにも、コミュニケーションが重要です。
就労移行に通うことで、コミュニケーションを身につけることができます。
就職率の高い就労移行支援事業所3選
2020年度1325名が就職「ココルポート 」
「ココルポート(旧:Melk)」は、株式会社ココルポートが運営する大手の就労移行支援事業所。
2020年度1325名もの就労実績があり、他事業所と比べても多くの利用者さんが就職まで到達していることがわかります。また、特化型の支援ではありませんが就職後も定着率が89.4%と高く、事務職を目指す方に圧倒的おすすめ。
またほかの就労移行支援事業所では珍しく、交通費と昼食費の補助もあるのがポイント。
47もの事業所があるため、お住まいの地域から時間をかけずに通所できる可能性大ですね。
対象 | 精神・発達・知的・身体・難病 |
就労実績 | 1,325名 (2020年度) |
定着率 | 89.7% (半年間) |
対象地域 | 東京・神奈川・千葉・埼玉・福岡 |
事業所数 | 47事業所 (2020年度) |
就職率98% 「ミラトレ」
「パーソルチャレンジ・ミラトレ」は、パーソルホールディングス株式会社が運営する就労移行支援事業所。
パーソルホールディングスは障害者向け転職・就職支援「dodaチャレンジ」を運営しているため、就職に関するノウハウがあり就職率も他事業所と比べてとても高いです。
関東・関西で13の事業所を展開しているので、ぜひチェックしてみてくださいね!
対象 | 精神・発達・知的・身体・難病 |
就労実績 | 不明 |
定着率 | 80% (2018年度|半年) |
対象地域 | 東京・神奈川・千葉・埼玉・大阪・兵庫 |
事業所数 | 13事業所数 (2021年度) |
ルーツ(roots)
「ルーツ」はLOGZGROUP株式会社が運営する就労移行支援事業所。
ITに強く、ホームページ制作スキルやデザイン、プログラミングなど幅広いスキルを学べる就労移行支援事業所です。
事務職や販売職はもちろん、IT技術職の就労実績があるためおすすめです。個別のカリキュラムや講座があり、基本的なパソコンスキルに加えillustratorやPhotoshop、Ruby、Python、Premior Proなど10以上のスキル学ぶことができます。
ルーツの強み
・事務だけでなく専門スキルも学べる
・IT業界に就職できる
ルーツの弱み
・事業所がまだ少ない
対象 | 精神・発達・知的・身体・難病 |
就労実績 | 33名 (2020年度) |
定着率 | 78% (2020年度|半年) |
対象地域 | 東京(四ツ谷)、神奈川(横浜関内・川崎・横浜西口)、千葉(千葉)、大阪(新大阪) |
事業所数 | 7事業所 (2021年度) |
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さいごに
今回は、就労移行支援事業所をできない理由と就職を成功するための3つのポイントをご紹介しました。
自分に合った就労移行支援で、①障害特性を理解する・②勤怠を安定させる・③コミュニケーション力をつけることを意識しながら、主体的に就活に励めば、就職を成功させることができるでしょう。
まずは、最初のステップである自分に合った就労移行支援探しから始めてみてください。
気になる就労移行支援所があれば、見学をすることをおすすめします。