「自分は発達障害かもしれない」「発達障害の診断基準には満たさない、と医師から言われた」
など、 自分が発達障害グレーゾーンだと認識されている方は少なくないのではないでしょうか。
今回は、発達障害についての詳しい説明から、おすすめの就活方法まで徹底解説していきます。病院へ診断に行くか悩んでいる方、自分の症状が読めず就活に一歩踏み出せない方、必見です!
【富田理子/twitter】
就労移行支援事業所を就職のためだけでなく、多くの人が集まり一緒に学び合えるコミュニティーにできる様、日々学びを深めています。
この想いを皆様の心に届けられる様な記事を執筆しています。
目次
発達障害とは
発達障害には大きく分けて3つの種類があり、それぞれの症状によって向いているお仕事が変わってきます。
初めに、発達障害グレーゾーンについて知る前に発達障害について詳しく説明していきます。
自閉スペクトラム症(ASD)
コミュニケーションの場面で、言葉や視線、表情、身振りなどを用いて相互的にやりとりをしたり、自分の気持ちを伝えたり、相手の気持ちを読み取ったりすることが苦手です。また、特定のことに強い関心をもっていたり、こだわりが強かったりします。また、感覚の過敏さを持ち合わせている場合もあります。(引用:厚生労働省)
厚生労働省も発表しているように、ASD(自閉スペクトラム症)はコミュニケーションが苦手であったり、特定のものごとに強いこだわりがある場合が多いです。
子どものおよそ20〜50人にひとりがASDと診断されるとも言われていますが、大人になってから診断を受けるというケースも増えています。
相手の気持ちになって考えることが苦手なため、仕事をしている中で悪気がなくても、相手を傷つけてしまうこともあります。
注意欠如・多動症(ADHD)
発達年齢に比べて、落ち着きがない、待てない(多動性-衝動性)、注意が持続しにくい、作業にミスが多い(不注意)といった特性があります。多動性−衝動性と不注意の両方が認められる場合も、いずれか一方が認められる場合もあります。(引用:厚生労働省)
子どもの頃からADHDの傾向があっても、「落ち着きのない子ども」として見過ごされている場合が多くあります。授業中に歩き回ったり、衝動的に行動してしまう、といった症状が見られます。
社会に出るとスケジュールやタスクを自分で管理することが求められるため、ADHDの不注意症状が気になるようになり、「自分はADHDかもしれない」と受診するパターンが多くあります。
ADHDは子どもと大人で症状が変わってくることもあるので、こちらのチェックリストの記事もご覧ください!
学習障害(限局性学習症)(LD)
全般的な知的発達には問題がないのに、読む、書く、計算するなど特定の学習のみに困難が認められる状態をいいます。(引用:厚生労働省)
学習障害は、単に学校の学習が苦手ということではなく、教育環境も整っていて、ご本人が努力しているにもかかわらず、ある特定の領域で学習に困難がある障害です。
発達障害「グレーゾーン」とは
次は、発達障害グレーゾーンについて詳しく見ていきたいと思います。
特徴
発達障害グレーゾーンとは、発達障害の診断基準をいくつかは満たしているものの、全てを満たしているわけではないため、明確な診断が下されていない方々のことを指します。
そのため、医師からは「発達障害の傾向があります」などと伝えられることが多くあります。
また、発達障害グレーゾーンという名前は、正式な病名ではなく、発達障害の傾向があると言われ、生きづらさを感じている全ての方々に当てはまるものです。
診断に行く際の体調やその場の環境の変化によって結果が変わることもあるため、医師から「傾向がある」と伝えられた症状についてしっかり理解することが必要になってきます。
症状
グレーゾーンだからといって症状が軽いわけではありません。
医師からの正確な診断がないため、周囲からの理解がされず、「変わった人」と考えられてしまう場合が多くあります。
- 自分では丁寧に伝えたつもりでも相手に伝わっていないことがある
- 好きなことに没頭しすぎてしまい、時間を忘れてしまうことがある
- 相手の考えていることを理解できず、コミュニケーションを取るのが苦手である
具体的な症状としては、これらの例えが挙げられます。
対処法
グレーゾーンの対処法としては2つ考えられます。
1つ目は、発達障害についての特性を知ることです。
医師から診断を受ける際に「自閉スペクトラム症の傾向があります」と診断されたとしましょう。
その場合、医師から伝えられた障害である自閉スペクトラム症について調べ、その対処法を知ることで生きずらさの改善につながります。
発達障害の症状に応じた対処法や治療を行い、自分の症状と向き合うことで障害の特性をうまく活かすことができる環境を見つけられるでしょう。
2つ目は、二次障害がないかの確認を行うことです。
二次障害とは、周囲とのコミュニケーションが取れなかったり、発達障害が原因でストレスを感じてしまったりする場合に起こる「うつ病」や「パニック障害」などの障害のことを言います。
グレーゾーンの方々は、発達障害と医師から診断されているわけではないので、周囲の理解が進まず、日常生活においてストレスを感じてしまうことが多くあります。
二次障害を放っておくと、深刻化してしまうことがあるため、自分の体に異変を感じたらすぐに診療に行きましょう。
そして三つ目は、発達障害の公的支援を利用することです。
発達障害の診断がなくても利用できる公的支援も、もちろんあります。
発達障害者支援センターや障害者就業・生活支援センターなどで相談に乗ってもらうことができます。
医療機関に行くのがハードルの高い方でも、自分の症状を知り正しい対処法を身につけることができるでしょう。
ここでは、発達障害を持つ本人が行かなくても、ご家族や関係者の方がお話に行くこともできるため、周囲の方の理解が進むことで本人の生きずらさの解消にもつながります。
発達障害グレーゾーンの方に向いている仕事
ここからは、それぞれの症状の特性を踏まえた上でどのような職業が向いているのかご紹介していきます!
こちらの記事には、就職活動における3つのポイントもまとめられているので是非チェックしてみてください!
自閉スペクトラム症(ASD)のグレーゾーンの方
ASDは、先ほども述べたように人とコミュニケーションを取るのが苦手で、臨機応変に対応できないという症状があります。
しかし、その分、関心のある分野であれば高い集中力が発揮でき、特定の物事を記憶することが得意です。
これらの点を踏まえ、デザイナーやエンジニア、研究者、校閲などの人と関わらず、一つの仕事に没頭できるお仕事が向いていると考えられます。
注意欠如・多動症(ADHD)のグレーゾーンの方
ADHDの方には、2種類の特徴が挙げられます。
1つ目は、計画を立てるのが苦手で決められた仕事がこなせなかったり、書類の記入漏れのミスが多かったり、といった症状の不注意性。
2つ目は、静かにすることが苦手で、遠慮せずに不適切な発言や行動を起こしてしまうという症状の多動・衝動性です。
生きずらさを感じる方が多いADHDですが、好奇心が強く、あらゆる感覚に敏感であるところがADHDの長所として挙げられます。
そのため、芸術やクリエイティブ系の個人的な技術が要求される仕事に向いていると言えます。
また、関心が持てる職種だと集中力も発揮できるので重宝されます!
学習障害(限局性学習症)(LD)のグレーゾーンの方
学習障害は読み書きをすることが苦手であるため、職場での業務に支障が出て悩んでいる方もいます。
その分、他の人ができないような想像をしたり、空間把握能力に長けているため、マーケティングのニーズやビジネスチャンスなどを読むセンスがあります。
また、文字の読み書きが苦手な場合は、文字の代わりに録音した音声を聴き、視覚を使わない方法を使ったり、計算が苦手な場合は、エクセルなどの計算ソフトを用いたりすることで学習障害の方も自分に合った仕事に就くことができます。
発達障害グレーゾーンでも使える公的支援
発達障害の診断がなくても利用できる公的支援も、もちろんあります。
医療機関に行くのがハードルの高い方は、発達障害者支援センターや障害者就業・生活支援センター、就労移行支援事業所でも相談に乗ってもらうことができます。
自分の症状を知り正しい対処法を身につけることができるでしょう。
発達障害の公的支援を利用も検討する上で、上記述べた2つのセンターと事業所についてご紹介します!
発達障害者支援センター
発達障害者支援センターは、発達障害児(者)への支援を総合的に行うことを目的とした専門的機関です。都道府県・指定都市自ら、または、都道府県知事等が指定した社会福祉法人、特定非営利活動法人等が運営しています。
(引用:国立障害者リハビリテーションセンター)
発達障害者支援センターでは、発達障害のある本人だけでなく、そのご家族、関係機関・施設からの発達障害に関する様々な相談に対応しています。
ここでは、発達障害を持つ本人が行かなくても、ご家族や関係者の方がお話に行くこともできます。
周囲の方の理解が進むことは、本人の生きずらさの解消にもつながるため、まずはご相談ください!
障害者就業・生活支援センター
障害者就業・生活支援センターは、障害者の職業生活における自立を図るため、雇用、保健、福祉、教育等の関係機関との連携の下、障害者の身近な地域において就業面及び生活面における一体的な支援を行い、障害者の雇用の促進及び安定を図ることを目的として、全国に設置されています。
(引用:厚生労働省)
障害者の身近な地域において、就職の面と生活の面で相談・支援を行なっているのが、障害者就業・生活支援センターです。
全国に336のセンターが設置されていたり、障害者手帳の取得が必須ではないため、他の支援事業所に比べて利用しやすいことが特徴として挙げられます。
事前に近くのセンターにご相談の予約を取り、簡単に相談することができます。気負わず、ご相談に行ってみてください!
就労移行支援事業所
就労移行支援事業所とは、障害のある方が一般企業への就労を目指し、知識や資格などの能力だけでなく、精神的なサポートを受けられる場所のことです。
発達障害グレーゾーンは医師からの診断が出ていないため、就労移行支援事業所を使っていいのか、と不安に感じられている方がいます。
しかし、医師の意見書・診断書をお住まいの行政に提出し、障害福祉サービス受給者証があれば、利用できる就労移行支援事業所も多くあるため、まずは見学からどうぞ!
詳しくはこちらの記事からチェックしてみてください!
あなた自身に見合った就活を
医療機関に行くのがハードルがの高い方でも、他の支援場所を利用することで、自分の症状を知り正しい対処法を身につけることができるでしょう。
発達障害のグレーゾーンは様々な意味を持ち、これと決まった対処法がありません。
ですが、その人個人に合わせた就労移行支援のプログラムや、サポートができる環境はあるので、自分らしく働ける就職先を探してみてください。