就労移行支援は、障害者総合支援法に定められた障害福祉サービスの1つです。
就労を希望される18歳〜65歳未満の障害や難病を抱える当事者の方が活用でき、障害者手帳をお持ちでない場合でも、自治体の判断によって利用が可能になります。
就労移行支援を検討する上で、気になるのはお金に関することかもしれません。
「就労移行ではどのくらい利用料金がかかるのか」「サービスを受ける際に何か援助は受けられるのか」など、いろいろと疑問点があるのではないでしょうか。
今回は就労移行支援を利用した場合にかかる費用について解説していきます。
目次
利用料金・自己負担額
就労移行支援事業所ルーツの四谷拠点に勤務する、サービス管理責任者の長谷川純子さんにお話を伺いました。
伊藤
現在、就労移行支援事業所ルーツの四谷事業所でサービス管理責任者をしている長谷川です。普段は、利用者の相談業務や個別支援計画の作成、ご家族や関係機関との連絡調整などに取り組んでいます。
また、「働く」に向けて自立した日常生活を送れていることは非常に大切な要素です。利用者一人ひとりと向き合いながら、定期的に支援計画を見直すことで、生活面の課題に関するヒアリングや助言なども行っています。
長谷川さん
伊藤
サービス管理責任者としての仕事は多岐にわたります。必要に応じて、サービス内容や他の職員への指導をまとめることで、日々質の高い福祉サービスを心がけています。
長谷川さん
就労移行支援サービスの仕組み
伊藤
就労移行支援サービスを提供する「就労移行支援事業所」は、障害者総合支援法に基づき、障害や難病を抱える方の就職をサポートする通所型の福祉事業所です。
地方自治体から指定を受けて運営されており、各自治体の審査会によって利用が認められれば、障害者手帳を持たない方でも利用できます。
※身体障害者の場合、障害者手帳が必要
就労移行支援を含む障害福祉サービスの利用料金は、世帯ごとの前年度所得に応じて負担額の上限が定められているので、所得の少ない方でも活用できる仕組みとなっています。
長谷川さん
世帯の収入状況 | 負担上限月額 | |
生活保護 | 生活保護受給世帯 | 0円 |
低所得 | 市町村民税非課税世帯 | 0円 |
一般1 | 市町村民税課税世帯(所得割16万円未満) | 9300円 |
一般2 | 上記以外 | 37200円 |
(障害者の利用者負担|厚生労働省 より)
伊藤
就労移行支援の自己負担月額は、前年の世帯収入に応じて決まります。
低所得帯は3人世帯で障害者基礎年金1級受給の場合、収入が概ね300万円以下、一般1は収入が概ね600万以下の世帯が対象です。「世帯」の範囲は本人とその配偶者までになるため、親の収入は換算されません。
長谷川さん
実際の負担状況
伊藤
事業所によって様々だとは思うのですが、私たちの事業所では、約9割の方が無料で利用しています。
長谷川さん
伊藤
受給者証の申請の時に負担軽減の申請を行うのですが、市区町村によって6月の段階で前年度所得の課税状況を見直します。申請を行うことで、7月1日から負担費用が減ることが考えられます。
自己負担額が発生する場合でも条件によっては減免もありますので、各自治体にご確認してみてください。
長谷川さん
利用するまでに必要な手続き
伊藤
障害福祉サービスを受けるには、市区町村が発行する「受給者証」の申請が必要です。利用する就労移行支援事業所が決まりましたら、障害福祉管轄の課に就労移行を活用したい旨を伝え、利用に必要な書類を確認します。
長谷川さん
伊藤
手続きで必要な書類を揃え提出が完了すると、審査会議が行われます。そこで支援が必要と認められると発行され利用開始となります。
長谷川さん
交通費・昼食代について
伊藤
交通費は原則、自己負担となります。一部の自治体では、条件を満たす方に助成金を出す場合もあるので、詳しくは各自治体の行政窓口にてご相談ください。
長谷川さん
伊藤
ルーツ四谷事業所では、食事提供加算の該当者には無償で、非該当で希望される方には実費負担で昼食のお弁当を提供しています。
昼食代については交通費と同様、一部の自治体で助成されるケースがありますので、直接問い合わせてみると良いかもしれません。
昼食は必ずしも全ての事業所で支給されているわけではありませんので、ご注意ください。
長谷川さん
工賃(賃金)の支払い
伊藤
就労移行支援事業所で仕事を受けて、作業された方に工賃を支払うケースはございます。ただし、あくまで一般就労を目的としてるため多くはありません。
長谷川さん
伊藤
就労移行事業所によって、サービス内容は異なります。ぜひ、自分にあった事業所探しをしてみてください!
さいごに
今回は、就労移行支援事業所にかかる利用料金などお金にまつわるお話をしていきました。
就労移行を検討するにあたり、不明点や気になることは、まだまだあるかもしれません。
自分に合った働きやすい環境での就職を目指すためにも、各事業所や自治体でご相談してみてください。
また、就労移行支援事業所はもちろん、障害者専門の転職支援サービスも利用してみてはいかがでしょうか。
Puenteでは、就労移行支援事業所ルーツとともに難病や障害をもつ方の就労支援を行っています。
就労移行支援事業所についてご質問やご相談がありましたら、ぜひ一度お問い合わせください。