「障害者の働き方がゲームによって大きく変化する?」
皆さんは、ゲームという言葉を聞いたときにどのようなことを思い浮かべますか?
ゲームといえば遊びや娯楽、休日、暇なときに遊ぶものとして考えていた方も多いのではないでしょうか。
ここ数年で、ゲームを用いた対戦をスポーツと捉えるeスポーツは、世界的に爆発的な成長を見せています。そして最近では、プロのeスポーツプレイヤーやeスポーツ業界への就職を目指せる就労移行支援事業所もできています。
今までの就労移行支援は、事務スキルやビジネススキルのカリキュラムが主流でしたが、eスポーツカリキュラムの提供開始により、より幅広い働き方を選択することが可能になります。
今回は就労移行・eスポーツ自体の詳細や、eスポーツをメインカリキュラムにしている事業所を紹介していきますので、ぜひ最後までご覧ください。
【村本博紀】
普段、就労移行支援事業所で支援員として働いています。支援員ならではの視点から独自性のある記事を執筆していきます!
目次
eスポーツとは?
eスポーツの概要
eスポーツ(e-sports)とは「エレクトロニック・スポーツ」の略で、ゲームを用いての対戦をスポーツとして捉えたものになります。
ここ10年でゲームは大きく進化し、ゲーム人口も急激に増えています。そしてゲーム内における対戦を一種の競技スポーツとして捉える「eスポーツ」が誕生しました!
eスポーツ発展に伴い、選手のプロ化やそれに関連するビジネスが急成長を遂げ、プロのeスポーツ選手や、eスポーツに関連する仕事が誕生しました。
市場規模や競技人口の現状
eスポーツの世界的な市場規模は2020年度で約10億5000万ドル、日本円に換算すると約1200億円になります。
※PR TIMES「2020年日本eスポーツ市場規模は66.8億円。~ファミ通発表~」より
日本での市場規模は2020年度は約66億円になります。2025年には約190億円の市場規模になるといわれており、今後の急成長が期待できます。
世界のeスポーツ競技人口は1億3000万人を超えており、日本の競技人口は約360万人となっています。
日本のeスポーツは発展途上ですが、日本eスポーツ連合のJeSUが2018年に設立されたことでプロライセンスの発行や環境整備などが急速に進んでいます。
eスポーツ×障害者とは?
障害者eスポーツの現状
障害者eスポーツ「ePARA」
ePARAとはバリアフリーとeスポーツを掛け合わせた障害者eスポーツのことを言い、株式会社ePARAが運営するePARA実行委員会が定めた用語です。
ePARAの「PARA(パラ)」は平行を意味するパラレルからきており、将来的にバリアフリーeスポーツのリーグ優勝者がトップeスポーツプレイヤーと対等に試合を行える物語性も含め「ePARA」(イーパラ)と大会名/団体名を定めています。
引用:ePARA公式HP
障害者スポーツというとパラスポーツを想起する方が多いのではないでしょうか。
このパラスポーツの概念をeスポーツに落とし込み、ePARAという言葉を生み出したのが株式会社ePARAが運営するePARA実行委員会になります。
ePARA実行委員会では、eスポーツを通じて障害者が自分らしく、やりがいを持って社会参加することを目指し、バリアフリーeスポーツ大会の企画運営を行っています。
一般社団法人障がい者e-スポーツ協会
「ePARA」以外にも障害者eスポーツに関する団体があります。
「一般社団法人障がい者e-スポーツ協会」は兵庫を拠点に置いている障害者eスポーツ団体になります。
個人の特性や能力、利用者の権利を尊重し、eスポーツを通して競技力の向上及びスポーツ精神の普及を目指します。 これをもって社会福祉の発展に寄与することを目的としています。
上記の理念をもとに障害者eスポーツの大会開催、運営や障害者向けの就労支援などを行っています。
障害者eスポーツの今後
eスポーツ選手の障害者雇用はすでに実現しています!
本サービス初の実績として、2019年8月1日(木)、eスポーツ選手の芳野氏がBASE株式会社(所在地:東京都港区、代表取締役CEO:鶴岡裕太)に障害者雇用として入社しました。業務内容に競技活動を含む形としての、eスポーツ選手の障害者アスリート雇用は、日本初の事例(自社調べ)となります。
・Digital PR Platform
障害者eスポーツに関する団体設立や福祉領域の事業所のeスポーツカリキュラム導入、障害者eスポーツ大会の開催などのここ1、2年で大きな変化が見られます。
また、eスポーツ自体も今後、日本・世界において急激な成長が見込まれています。それに伴い、障害者eスポーツもますます発展していくことが予想されます。
従来では考えられないような、eスポーツプロ選手や、その関連事業への障害者雇用での就職が当たり前になる時代が近いうちに来るかもしれません。
就労移行支援事業所とは?
・就労移行支援事業所の名前は知っているが、詳細がわからない。
・就労移行支援事業所を利用したいけど自分は利用できるのかわからない。
・就労移行支援事業所はどのようなサービスが受けられるのかわからない
就労移行支援自体に上記のような疑問を持っている人も少なくないと思います!
就労移行支援事業所とは、一般企業への就職を目指す障害を持つ方を対象に、就職に必要な訓練・サポートを提供する福祉サービスです。
就労移行支援事業所で用意されている訓練は基礎的なPC訓練やビジネスマナー・コミュニケーション面の訓練、資格勉強カリキュラムなど事業所によって異なります。
また、生活リズムを安定させるためのヒアリングや面談はもちろん、就職活動のサポート・アドバイスなども行っています。
最近では、複数の就労移行支援事業所がeスポーツの導入を開始しました。
eスポーツカリキュラムを用意し、eスポーツプレーヤー、eスポーツ関連の職業への就職を目指す就労移行支援事業所が出てきました。
またそれ以外にも障害者中心のプロeスポーツチーム設立や、障害者のための大会も開催されています。
利用料金
就労移行支援事業所の利用料金は前年度の世帯所得にもよりますが、ほとんどの方が無料でサービスを受けることが可能です。
区分 | 世帯の収入状況 | 負担上限月額 |
生活保護 | 生活保護受給世帯 | 0円 |
低所得 | 市町村民税非課税世帯 | 0円 |
一般1 | 市町村民税課税世帯(所得割16万円未満) | 9300円 |
一般2 | 上記以外 | 37200円 |
過去の記事で就労移行支援事業所の1日の流れも説明しておりますので、気になる方は是非ご覧ください。
利用条件
下記条件を満たしている方は就労移行支援事業所の利用が可能です。
障害者手帳がない場合でも行政の判断によっては利用可能になることもあります。 詳細はお住いの地域の障害福祉課にお問い合わせください。
・就職を目指す、障害がある働きたい方
・18~64歳の方
・医師、行政から利用可能な判断を受けた方
・離職中の方
※休職中の利用はできません。
利用方法
STEP①
通える範囲の就労移行支援事業所を探す
STEP②
興味のある事業所に電話、もしくはHPからお問い合わせ
STEP③
相談、見学、体験などを実施
STEP④
お住いの地域の障害福祉課でサービス受給者証を発行
STEP⑤
就労移行支援事業所にて利用契約、サービス利用開始
上記が基本的な就労移行支援事業所利用までの流れになります。
お問い合わせや相談、見学・体験なども基本的には無料で行うことができますので、ご気軽に興味のある事業所にお問い合わせしてみてください!
eスポーツ×就労移行支援
eスポーツ×就労移行支援とは?
障害者eスポーツに関する動きはここ1、2年活発になっており、就労移行支援事業所もeスポーツを導入し始めました。
eスポーツプレーヤーやそれに関連する職種(eスポーツアナリスト、解説者、指導者、広報)などへの就職を目指すカリキュラムを展開している就労移行支援事業所も複数あります。
eスポーツに特化した事業所紹介
就労移行支援事業所「就労移行ITスクール」×プロe-スポーツチーム「DONUTS USG」
就労移行ITスクールはオープン予定含めて、全国に14拠点を展開している就労移行支援事業所になります。
就労移行ITスクールは、IT特化型の就労移行支援で、eスポーツカリキュラムの他に、プログラミングやWebデザインのカリキュラムも提供をしています。また、卒業生全体の40%以上がITに関連する職業への就職をしています。
就労移行ITスクールでは、実際のプロe-スポーツチーム「DONUTS USG」が監修しているカリキュラムを提供しており、オンライン、または実際にプロのe-スポーツプレーヤーから実際にスキルを学ぶことが可能です。
就職という枠組みだけではなく、もっと選択肢を増やすことを目指していきたいと考えていました。
そのなかで、『eスポーツ』という分野で新たな『選択肢』を生めるということに、『障がいという線引きをなくす』というミッションに通じる大きな意義を感じています。今回のプロジェクトで、eスポーツの浸透とともに、障がい者雇用という概念をも変えていくムーブメントにしていけるよう取り組んでまいります。
※就労移行支援事業所「就労移行ITスクール」のスポンサー契約についてのコメント
就労移行支援事業所「ACADEMIA」
ACAMDEMIAは関西に4拠点、福岡、東京にそれぞれ1拠点、eスポーツ専門の就労移行支援事業所を展開しています。
eスポーツプレーヤーとしての就職はもちろん、eスポーツの関連職種への就職を目指せる事業所になります。
eスポーツに関する訓練だけではなく、ビジネスマナーやコミュニケーション、自己管理などのソーシャルスキルの部分もカリキュラムに組み込まれています。
また講師陣はプロeスポーツチームと提携し、現役のeスポーツプロ選手などをまねているため確実にスキルを取得できる環境が整っています。
就労移行からeスポーツプレーヤーへ!
最後までお読みいただきありがとうございました!
近年、eスポーツは急成長を遂げており、就労移行支援事業所でもeスポーツを活用したサービスが立ち上がり始めました。
今までにない、画期的な取り組みとなっており障害者雇用を大きく変える一歩になるのではないでしょうか!
この記事でご紹介した就労移行支援事業所に興味のある方は、ぜひお気軽にお問い合わせ・見学に行ってみてください。