障害者手帳で何が変わる?申請方法や受けられるサービスを解説!

障害者手帳で何が変わる?申請方法や受けられるサービスを解説!

障害を持つ人が任意で所得できる障害者手帳。

交付を受けることで、様々な社会的配慮を受けることができますが、申請の複雑さに戸惑ったり、障害者手帳を持つことに躊躇いを感じている人もいますよね。

ここでは、障害者手帳の交付対象や申請方法、受けられるサービスを種類別に解説します。

障害者手帳とは

障害者手帳は、一定の障害にあることを証明するためにあります。

手帳には、「身体障害者手帳」「療育手帳」「精神障害者保健福祉手帳」の3つの種類があり、それぞれ「等級」がわかれています。

まず、種類別に対象と等級、申請方法について解説します。

身体障害者手帳

対象となる症状

身体障害者福祉法に基づき、法の別表に掲げる障害程度に該当すると認定された方。

  • 視覚障害
  • 聴覚障害
  • 平衡機能障害
  • 音声・言語機能障害
  • そしゃく機能障害
  • 肢体不自由
  • 心臓機能障害
  • じん臓機能障害
  • 呼吸器機能障害
  • ぼうこう又は直腸機能障害
  • 小腸機能障害
  • ヒト免疫不全ウイルスによる免疫機能障害
  • 肝臓機能障害

※腕や足などの怪我や病気、内臓疾患など。詳細は、こちら

等級の区分け

各障害ごとに、1〜6級までの等級があり、数字が小さいほど程度が高くなっています。

※7級は単一では手帳交付はされません。7級の障害が2つ以上ある場合は、6級に認定されます。

(参照|身体障害程度等級表)

申請手続き

15歳未満は保護者、15歳以上は本人が申請します。

  1. 住んでいる市区町村の窓口で手帳取得申請を行う
  2. 専用の診断書、意見書を貰い、医師に記入してもらう
  3. 記入してもらえたら市区町村の窓口に提出する

診断書は指定された医師に書いて貰う必要があります。「身体障害者福祉法第15条の指定を受けている医師」であるかを確認しましょう。

手続きの後、約1ヶ月程度で取得できます。

身体障害者手帳は、有効期限や再認定の時期が記載されているものと、記載されていないものがあります。

記載がない場合、更新は不要ですが、有効期限や再認定の時期が記載されている場合は更新が必要になります。

療育手帳

対象となる方

児童相談所、保険福祉センターなどによって知的障害と判定された方。

自治体によって、呼び名が違う場所もあります。以下はその例です。

  • 青森県、名古屋市…愛護手帳
  • 東京都、横浜市…愛の手帳
  • さいたま市…みどりの手帳

自治体によって、判定基準も若干違います。

東京都を例に取ると、以下のようになっています。

・0歳から6歳までの場合

判定項目は、知能測定値、運動、社会性、意思疎通、身体的健康、基本的生活の6項目で判定

・6歳から17歳までの場合

知能測定値、学習能力、作業能力、社会性、意思疎通、身体的健康、日常行動、基本的生活の8項目で判定

等級の区分け

療育手帳は1〜3級までの等級があります。

東京都の場合の等級判定基準の詳細はこちら

申請手続き

  1. 18歳未満の場合は児童相談所、18歳以上の場合は保健福祉センターなどに申請する
  2. 専門の知的障害判定機関(自治体の児童相談所など)でテストや面談を受ける

申請の手続きは自治体によって異なります。

まずはお住まいの自治体の窓口に相談に行くようにしましょう。

精神障害者保健福祉手帳

対象となる方

精神疾患を有する方のうち、長期にわたり日常生活または社会生活の制約がある方。

うつ病、統合失調症、てんかん、双極性障害、気分障害など
※パニック障害やパーソナリティ障害などの神経症単独では、取得できない可能性が高いので、主治医に相談してみましょう。

等級の区分け

精神障害者保健福祉手帳は1〜3級までの等級があります。

1級 精神障害であっ て、日常生活の用を弁ずることを不能 ならしめる程度のもの

2級 精神障害であって日常生活が著しい制限を受けるか、または制限を加えることを必要とする程度のもの

3級 精神障害であって日常生活もしくは社会生活が制限を受けるか、または日常生活もしくは社会生活に制限を加えることを必要とする程度のもの

※詳細はこちら

申請手続き

精神障害者手帳の申請は、初診日(病院で初めて診察を受けた日)から6ヵ月経過していることが条件です。6ヶ月の間に病院が変わっている場合は医師にその旨を申し出ましょう。

  1. お住まいの市区町村窓口で手帳取得申請を行う
  2. 専用の診断書を医師に記入してもらう。
  3. 記入してもらえたら市区町村窓口に提出する

申請後、約1、2ヶ月で取得ができます。取得後は2年ごとに更新が必要になります。

発達障害の場合

ADHDや自閉症スペクトラム、アスペルガー症候群などが含まれる発達障害ですが、発達障害専用の障害者手帳は存在しません。

発達障害の方は、「療育手帳」「精神障害者保健福祉手帳の申請ができます。
知的障害のある方は、「療育手帳」を、それ以外の方は「精神障害者保健福祉手帳」を申請し、交付を受けられます。

手帳を所有すると何が変わるのか

手帳を所有することで、自身の症状の証明になったり、様々な配慮やサービスを受けたりすることができます。ここでは、手帳の交付を受けることで受けられる福祉サービスを紹介します。
(参照|障害程度別該当事業)

共通でサービスの例

  • 公共交通機関(電車、バス)の乗車賃割引、乗車券の交付
  • タクシー利用割引
  • 自動車運転免許証所得の費用割引
  • 自動車注射場の割引
  • 博物館、美術館などの入館料割引
  • レジャー施設、テーマパークなどの入場料割引
  • 障害児育児手当金の支給
  • 障害者扶養共済
  • 住宅増改築費の貸与
  • 技能習得資金の貸与
  • 携帯電話料金の割引
  • NHK利用料の免除
  • 市県民税・所得税・相続税の控除、贈与税の非課税
  • 自動車税、自動車取得税の減免措置
  • マル優(少額預金等利子非課税)制度

身体障害者手帳で受けられるサービスの例

  • 日曜生活具の給付、貸与
  • 補助具の交付と修理
  • 訓練・介助器具作成・購入費助成
  • 盲ろう者通訳・介助員の派遣
  • JRの運賃割引
  • 有料道路通行料金の割引
  • 国内航空運賃の割引
  • 自立支援医療の給付

療育手帳で受けられるサービスの例

  • 日曜生活具の給付、貸与
  • 市営・県営住宅への入居優遇
  • JRの運賃割引
  • 有料道路通行料金の割引
  • 国内航空運賃の割引
  • 障害者扶養共済

精神障害者手帳で受けられるサービスの例

  • 日曜生活具の給付、貸与
  • 市営・県営住宅への入居優遇
  • 家庭ごみのふれあい収集・粗大ごみの持ち出し収集
  • 精神障害者入院医療援護金制度
  • 自立支援医療の給付
  • 宅増改築費の貸付

また、就労に関する相談・支援機関の利用や、障害者枠での就職も出来ます。

障害者枠で就職をした場合、企業から合理的な配慮を受けることができます。

障害者雇用促進法や、障害者雇用対策基本方針において、企業は以下の対応が求められています。

    • 採用試験において、申出により障害の特性を踏まえて、応募者の能力を適切に評価できるような配慮をすること。(点字や拡大文字の活用、手話通訳者等の派遣、試験時間の延長や休憩の付与など)
    • 十分な教育訓練期間を設けることや雇用継続が可能となるよう能力向上のための教育訓練の実施
    • 障害者の適性や希望等も勘案した上で、その能力に応じ、キャリア形成にも配慮した適正な処遇
    • 障害の種類や程度に応じた安全管理や健康管理の実施、安全確保のための施設等の整備、職場環境の改善
    • 障害特性を踏まえた相談、指導及び援助(作業工程の見直し、勤務時間・休憩時間への配慮、援助者の配置など)
    • 職場内の意識啓発を通じた、職場全体の障害及び障害者についての理解や認識を深めること

(参照|厚生労働省)

最後に

障害者手帳を持つことで生じる不利益は、特にありません。

障害者雇用をすることで、作業の見直しが行われ、仕事の効率化に成功した企業も複数あります。

障害者手帳の所有に不安を覚える方も、障害者手帳で受けられる生活面や雇用面での合理的配慮やサービスを前向きにとらえて活用してみてはいかがでしょうか?

Puenteでは、就労移行支援事業所ルーツとともに障害者の方の就労を応援しています。

ご興味のある方は、ぜひ一度お問い合わせください。