「一人暮らしをしたいけど、生活面に不安がある…」
「昼夜逆転していて、生活リズムを整えたい」
「働く前に、まず身の回りのことを安定させたい」
そんな悩みを抱える方へ。この記事では、地域で自立した生活を送るための準備をサポートする福祉サービス「自立訓練(生活訓練)」について、元支援員の視点から分かりやすく解説します。
就労を目指す「就労移行支援」との違いや、具体的なプログラム内容、利用方法まで詳しくご紹介します。さらに記事の後半では、従来の生活訓練に加えてITスキルも学べる新しい形の事業所『自立訓練スクール』についても詳しくご紹介しますので、あなたの次の一歩を考える参考にしてください。
【Puente編集部】
元就労移行支援員で構成されているメディアです。
全国の就労移行支援事業所の紹介はもちろんのこと、就労移行支援員で培った経験、ノウハウを基に障がい者向けの就職や日常生活に役立つ情報を発信しています!
目次
自立訓練(生活訓練)とは?
自立訓練(生活訓練)とは、障害者総合支援法に基づく福祉サービスの一つです。
地域の中で自立した日常生活を送れるようになることを目標に、食事やお金の管理、対人関係の構築など、生活に必要な様々なスキルを身につけるための訓練やサポートを提供します。
いきなり就職を目指すのではなく、まずは生活の基盤を安定させたい方が、自分のペースで準備を整えるための場所です。
自立訓練の2つのタイプ
自立訓練には、目的別に2つのタイプがあります。
【生活訓練】
食事の準備や金銭管理、健康管理といった日常生活を送る上で必要なスキルの維持・向上を目的とします。精神障害や発達障害、知的障害のある方などが主に利用されます。
【機能訓練】
身体障害のある方などを対象に、理学療法士や作業療法士といった専門スタッフのもと、身体機能や生活能力の維持・向上を目的としたリハビリテーションなどを行います。
※この記事では、主に「生活訓練」について詳しく解説していきます。
どんな人が利用できるの?
利用対象者
自立訓練(生活訓練)は、原則として18歳以上の、地域で自立した生活を送りたいと希望する障害や難病のある方が利用できます。
障害者手帳がなくても、医師の診断や意見書などがあれば、自治体の判断によって利用が認められる場合があります。
【こんな方が利用しています】
- 一人暮らしに向けて、料理や掃除、金銭管理を学びたい
- 昼夜逆転を治し、安定した生活リズムを身につけたい
- 人とのコミュニケーションに自信をつけたい
- 服薬や通院など、自分で健康管理ができるようになりたい
- 今は働く自信がないが、将来のために何か始めたい
具体的なプログラム内容
事業所によって特色がありますが、主に以下のようなプログラムが提供されています。
- セルフケア:入浴や身だしなみ、服薬管理、体調の把握など
- 家事スキル:調理実習、掃除・洗濯、買い物など
- 金銭管理:お金の計算、予算の立て方、公共料金の支払いなど
- 対人関係:コミュニケーション講座、SST(ソーシャルスキルトレーニング)など
- 健康維持:運動プログラム、ストレス対処法(アンガーマネジメント等)など
最近では、上記のような基本的な生活スキルに加えて、Webデザインやプログラミングといった将来の選択肢を広げるITスキルを学べる事業所も増えています。その代表例が、後ほど詳しくご紹介する『自立訓練スクール』です。
利用方法と料金について
利用方法と利用期間
自立訓練は、標準で2年間利用することができます。(※必要性が認められれば延長も可能です)
利用までの流れは、就労移行支援など他の福祉サービスとおおむね同じです。
STEP①
通える範囲内で自立訓練事業所を探す
STEP②
興味のある事業所に、Webまたは電話でお問い合わせをする
STEP③
お問い合わせをした事業所にて、相談・見学・体験を実施する
STEP④
お住まいの地域の障害福祉課でサービス受給者証を発行
STEP⑤
自立訓練事業所にて、利用契約をし、利用を開始する
まずは、無理なく通える範囲で事業所を探し、雰囲気やプログラムが自分に合いそうか見学してみることが大切です。
利用料はかかるの?
自立訓練の利用料は、前年度の世帯収入によって決まりますが、ほとんどの方が自己負担なし(無料)で利用しています。
世帯の収入状況 | 負担上限月額 | |
生活保護 | 生活保護受給世帯 | 0円 |
低所得 | 市町村民税非課税世帯 | 0円 |
一般1 | 市町村民税課税世帯(所得割16万円未満) | 9,300円 |
一般2 | 上記以外 | 37,200円 |
(障害者の利用者負担|厚生労働省 より)
【重要】就労移行支援との違いは?
自立訓練とよく比較されるサービスに「就労移行支援」があります。この2つの最も大きな違いは「目的」です。
→ 日常生活のスキルを身につけ、自立した生活を送ること就労移行支援の目的
→ 一般企業で働くために必要なスキルを身につけ、就職すること
項目 | 自立訓練(生活訓練) | 就労移行支援 |
目的 | 自立した日常生活 | 一般企業への就職 |
訓練内容 | 生活リズムの安定、家事、金銭・健康管理、対人スキルなど | PCスキル、ビジネスマナー、求職活動、職場定着支援など |
卒業後の進路 | 一人暮らし、グループホーム入居、就労移行支援の利用など | 企業への就職 |
「まだ働く自信はないけど、生活を安定させたい」という方は、まず自立訓練を利用し、生活の基盤が整ってから就労移行支援へステップアップする、という方も多くいらっしゃいます。
【後悔しない】自分に合った事業所の選び方と新しい選択肢
自分に合った自立訓練事業所を選ぶ際のポイントは4つあります。
✔︎ 自分の目標に合ったプログラムはあるか?
✔︎ 卒業した人の次のステップはどうか?
✔︎ 交通費や昼食のサポートはあるか?
✔︎ 事業所の雰囲気や居心地は良いか?
見学に行く際には、自分がどんなスキルを身につけたいか(例:料理を覚えたい、コミュニケーションが上手になりたい等)を伝え、それに合ったプログラムがあるかを確認しましょう。また、施設の清潔さやスタッフ・他の利用者さんの雰囲気など、自分が安心して通えそうかも大切なチェックポイントです。
もし「生活改善+α」を求めるなら【自立訓練スクール】
基本的な生活スキルを身につけるだけでなく、**「どうせなら、将来の選択肢が広がるスキルも身につけたい」**と考える方もいるでしょう。
そんな方に最適な新しい選択肢が、ITスキルも学べる「自立訓練スクール」です。
- 生活改善とITスキル学習の両立:生活リズムや体調管理のサポートを受けながら、Webデザインやプログラミングといった専門スキルを自分のペースで学べます。
- 在宅利用が可能:「毎日通うのは不安」という方も、オンラインでの訓練に対応しているため、自宅から無理なくスタートできます。
- 就労移行へのステップアップもスムーズ:卒業後は、同じ運営元が提供する「就労移行ITスクール」へ移行し、本格的な就職活動に進む道も開かれています。
自立訓練スクールの詳細を見てみる
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まとめ|まずは生活の土台作りから始めよう
いかがでしたでしょうか?
自立訓練(生活訓練)は、就職というステップの前に、まずは安心して暮らしていくための土台を作る場所です。
生活リズムの乱れや、身の回りのことへの不安を抱えている方は、一人で悩まずに、ぜひお近くの自立訓練事業所に相談してみてください。
特に、生活の土台作りに加え、将来役立つITスキルも身につけたいと考えている方は、新しい選択肢である「自立訓練スクール」の見学やオンライン相談を検討してみてはいかがでしょうか。