就労移行支援事業所ルーツ川越|何度も失敗し、本当に得意なことを探す

株式会社WITHハピネス 就労移行支援事業所ルーツ川越 代表取締役
遠藤啓太 えんどうけいた

株式会社WITHハピネス代表取締役。高校卒業後に自衛隊に入隊し、新人教育の担当教官なども務める。除隊後は看護師として働いていたが、その後は保険会社や投資会社などの金融機関に入る。松田さんと共に株式会社WITHハピネスを設立し、この度LOGZGROUP株式会社のVSP(ビジョンシェアリングパートナー企業)に加盟し、2022年3月1日に就労移行支援事業所ルーツ川越を開所。

株式会社WITHハピネス 就労移行支援事業所ルーツ川越 取締役
松田亘 まつだわたる

株式会社WITHハピネス取締役。練馬区議会議員。2016年から不動産賃貸業の会社を経営しており、2017年には盲導犬引退犬を家庭犬として飼ってもらうためのボランティア事業も始める。その後は練馬区議会議員に当選し、遠藤さんと共に株式会社WITHハピネスを設立。この度LOGZGROUP株式会社のVSP(ビジョンシェアリングパートナー企業)に加盟し、2022年3月1日に就労移行支援事業所ルーツ川越を開所。

今回インタビューを行ったのは、株式会社WITHハピネスの遠藤さんと松田さん。

株式会社WITHハピネスは、この度新規事業として、2022年3月1日に就労移行支援事業所ルーツ川越をオープンしました。

今回のインタビューでは、株式会社WITHハピネスの代表を務められているお二人に、会社設立の経緯やビジョン、ルーツ川越に対する思いなどを詳しくお聞きしました!

就労移行支援とは?

就労移行支援事業とは、障害福祉サービスの一つで、就職するために必要な各種技能を身につけるための支援が受けらるものです。

実際の職場環境に近い雰囲気のオフィスで訓練が行えたり、自分の障がいや特性に合った個別のプログラムを受けられたりと、メリットがたくさんあります。

障がい者手帳が必ずしも必要というわけではなく、医師や自治体の判断で障がい者手帳がなくても就労移行支援を利用できることがあります。

↓ 就労移行支援に関する詳しい説明はこちらの記事から ↓

就労移行支援事業の内容

就労を希望する65歳未満の障がい者で、通常の事業所に雇用されることが可能と見込まれる者に対して、

①生産活動、職場体験等の活動の機会の提供その他の就労に必要な知識及び能力の向上のために必要な訓練

②求職活動に関する支援

③その適性に応じた職場の開拓

④就職後における職場への定着のために必要な相談等の支援を行う
(利用期間:2年)
※ 市町村審査会の個別審査を経て、必要性が認められた場合に限り、最大1年間の更新可能

就労移行支援に携わるまで

ー今回は、株式会社WITHハピネスの代表である、遠藤さんと松田さんにインタビューをしました。お二人とも、本日はよろしくお願いいたします。

ご経歴

ーはじめに、お二人のご経歴を教えていただけますでしょうか。松田さんからお願いします!

松田さん:私は2016年から不動産の賃貸業の会社を経営していまして、2017年から盲導犬を引退した犬を、家庭犬として飼ってもらうためのボランティアをしています。

その2年後の2019年に練馬区議会議院に当選させていただきました。

そして、さらに2年後の2021年に遠藤さんと知り合い、遠藤さんと共に株式会社WITHハピネスを設立しました。

ーありがとうございます!お次に遠藤さんのこれまでのご経歴を教えてください。

 

遠藤さん:僕は高校卒業後に陸上自衛隊に入隊しまして、ちょうど東日本大震災や熊本地震の頃、自衛隊として活動していました。自衛隊では新人教育の担当教官も務めていました。除隊した後は、少しだけ看護師もやっていました。

その後は、保険会社や国内の投資会社などの金融機関に勤め、そこから松田さんと共に株式会社WITHハピネスを設立しました。

ーお二人とも、これまで様々なことをされてきたんですね。全く違うご経歴を持つお二人が、どのようなきっかけでお知り合いになったのか知りたいです!

遠藤さん:投資会社で資産運用の話をしているときに、松田さんと出会うご縁をいただいたんです。

結局、そこでは資産運用の話よりもお互いのこれまでの話や、これからどうやって生きていこうかみたいな話の方がメインになったんですよね。

そんな話をしている中で、僕が今後就労移行支援事業所ルーツの運営をしていくので、それを二人で一緒にやっていけたら面白いよねって盛り上がって、今に至ります。

株式会社WITHハピネスとは

ー今回就労移行支援に携わることになった株式会社WITHハピネスさんですが、どのような経緯で設立されたのですか?

遠藤さん:私がまだ自衛隊に所属していた東日本大震災や熊本地震の頃は、災害が原因でPTSDになってしまったり、精神的にとてつもない負荷がかかったりする方がたくさんいました。

そして、そんな場面で僕たち自衛隊に与えられたミッションって、一人一人と深く関わることじゃなくて、とにかく大勢の人を守ることだったんです。

僕も当時はその良し悪しを考える暇もなく、ただがむしゃらに任務を全うしていました。

ですが金融業界へ行ってからは、一人一人のお客さまのバックグラウンドまで、全てを理解した上で資産をプランニングするという経験をたくさんさせていただき、お客様との関わり方がとても密接になりました。

多くの方を守ることと、一人一人と深く関わることの両方を経験した上で、僕には後者の方が合っているなと思ったんです。

多くの人を助けることもすごく素敵ですけど、自分が深く関わった人が、5年後、10年後に自分の人生を振り返った時に、「あの時、自分がいたことによって人生が良くなった」と言ってもらえたら良いなと思っています。

ーそうだったんですね。たくさんの人と、様々な関わり方をしてきた遠藤さんだからこそ、そのような思いを持たれているのだなと思います。松田さんも同じお考えなのですか?

松田さん:私は福祉に興味があって、今も福祉系の大学に通い直しているんです。

盲導犬の引退犬のボランティアなどもしていて、いずれは福祉事業に取り組みたいなと思っていたときに遠藤さんと出会い、そのビジョンに共感して、一緒に福祉をやりたいと決心しました。

せっかく生きている以上は、自分に関わってくれた方々が、あなたと関わることができて良かったと言ってくれるような人生を送れたら良いなと思います。

遠藤さん:だから、誰かが得をして誰かが損をするという利害関係は一度置いておいて、関わった人たちが手を繋いで共に幸せになっていこうという想いを込めて、「株式会社WITHハピネス」という社名になったんです。

ーなるほど。とても素敵なビジョンですね。

ー一人一人と深く関わること自体は、例えば学習塾や高齢者介護などを通しても可能だと思うのですが、なぜ障害者福祉をやっていこうと思われたのか、気になりました。

松田さん:私の妻が全身性エリテマトーデスという難病を抱えていて、それが原因で就職が難しかったんです。

だからこそ、同じようにハンディキャップを抱える方々に対して、働けるようになるための支援ができれば良いなと思い、障害者福祉に携わろうと思いました。

遠藤さん:今の世の中、「障害者」という線引きはあるけど、僕はそれは突出した一つの能力だなと思っています。

例えば、今この空間が真っ暗闇になって何も見えなくなったとしたら、視覚障害があって普段から聴覚を頼りに生きている人々はいつも通りの生活ができるけど、視覚に頼って生きている人は生活することが難しくなります。

いわゆる「健常者」と立場が逆転しますよね。

だから、そのような方々と深く関わって、個々の持つ能力を伸ばしていくお手伝いがしたいなと思い、障害者福祉に携わることにしました。

何度でも失敗が許される環境で、正しい障害理解を|ルーツ川越

ルーツ川越に対する想い

ールーツ川越に対してどのような想いをお持ちですか。

遠藤さん:ルーツ川越は「何度でも失敗が許される環境」にしたいです。

失敗したことがきっかけで傷ついて、どんどん自分の殻にこもっていってしまい、最終的に抜け出せなくなってしまう方は大勢いると思います。

自分が失敗したことで怒られるから、人の失敗を許せなくなるのって負の連鎖ですよね。

だからこそ、自分の失敗に対して、「まあこんなこともあるよね。だから相手のことも許そう。」って考えることができて、だんだん人間としての器が広がっていくような事業所になったら良いなと思います。

ーせっかくスキルを身につけて社会に出ても、アンガーマネジメントができず、またつまづいてしまうのは勿体無いですよね。

遠藤さん:アンガーマネジメントという点で、お坊さんと提携しました。

お坊さんに説法していただいたり、悟りについて学んだりすることで、人間としての器を広げることにつながるかと思いまして。

いろんな宗教の方がいると思うので、仏教に偏ってしまわないように、今後の展開についても考えていきたいですね。

ーお坊さんですか!?就労移行支援事業所にお坊さんって初めて聞きました!

遠藤さん:あとは、自身の障害特性を深く理解することを大切にしたいですね。

障害や精神病の領域って、まだ明らかになっていないことがたくさんあるらしいのですが、皆さんどうしても教科書通りの情報に自身を近づけていきがちだなと思うんです。

「私はASDだから〜〜だ。」とか、「双極性障害だから〜〜だ。」っていう感じで。この病気・障害だから、私はこうなんだっていう先入観を、まず一度置いておいてもらいたいです。

理想としては、自身の障害について「教科書にはこう書いてあるけど、私は70%これに当てはまっていて、30%は〜〜なんです。」という理解ができるようになって欲しいです。

ー確かに、教科書に書いてあることが全て正解とは限りませんよね。人それぞれ違った形で障害を抱えているはずなので、教科書の情報を信じ込んで、そこで思考停止してしまうのは自分のことを本当にわかっているとは言い難いかもしれません。

遠藤さん:自身の障害理解を進めるために、精神科の病院との業務提携が決まりました。

先生に定期的に事業所に来ていただいて、講習会をしていただいたり、こちらから様々な症例について質問したり、対処法を聞いたりできるんです。

精神科と直接提携している事業所ってそんなに無いと思いますし、ルーツ川越独自の方法で障害に対する自己理解を進めることができれば良いなと思っています。

ー独自にいろいろなカリキュラムを考えていらっしゃるんですね!

ー事業所の内装や環境づくりにも何かこだわりはあったりするんですか?

遠藤さん開放感のある空間を作りたいなと思っているので、とにかく窓が多いです。壁全てに窓がついているところもあります。

スターバックスの店内をイメージして、カウンター席やインテリアを配置しているので、開放的でリラックスできる空間になっていると思います(笑)

ー開放的な空間とユニークなカリキュラムで、とても魅力的な事業所になる気がします!

ルーツ川越の学習サポートと就労サポート

ールーツ川越のカリキュラムや具体的な支援についてもっとお聞きしたいです!

遠藤さん:ルーツのメインのカリキュラムはITスキルを身につけるためのものですが、ルーツ川越ではITスキル”も”身につけられるようなカリキュラムを作っていくイメージです。

自身の障害理解を深めたり、コミュニケーション力の向上を目指したりすることも、ITスキルの定着と同じくらい重視しています。

ーどのような学習支援を考えていらっしゃいますか。

遠藤さん:利用者さんの障害特性に合わせて、指示型なのか自発型なのかを見極めながら、一人一人に合った学習支援を行なっていきます。

仕事のことばかりではなく、リフレッシュ要素も取り入れながら、自分自身を容認できるようにサポートを行なっていきます。

また、社会に出た後の事も考え、自分のどこが障害で、どこが性格なのかを自己理解していくことで、トラブルシューティングを自分で出来るようにするためのサポートを行います。

ーやはり利用者さんの障害特性に合わせた支援を重視されているんですね。

ー就職活動の準備から実際の就職活動、その後の職場定着支援はどのように考えていらっしゃいますか。

遠藤さん:利用者さんの性格や特性などを総合的に見つつ、本人の意思や希望が尊重されるように話し合いを行なっていきます。

履歴書の添削や模擬面接などはもちろん、必要に応じて助言を行いながら、広い視野から利用者さんの社会復帰を目指します。

とにかく、妥協してどこでも良いから就職するっていうのは嫌ですね。

就職することはできたとしても、妥協して決まった就職先では長続きしないですし、それで上手くいかずに振り出しに戻ってしまうのはもったいないと思います。

本当にやりたいことは何なのかを、利用者さんとスタッフで一緒に考えていけたらなと思います。

ー利用者さんの希望などを踏まえて、希望企業を狙ってそのためのスキルを身につけていくということですね。

メッセージ

利用を検討している方へのメッセージ

ー最後に就労移行支援事業所の利用を検討している方に向けてメッセージをお願いします!

松田さん:就労移行支援事業所の利用を検討されている皆さんは、きっとこれまでに思うようにいかず、辛い思いをされたことがあったと思います。

ルーツ川越では、できないことを否定してすぐに他の可能性を探すのではなくて、まずは利用者さん自身が一番やりたいことをできるようにするために頑張ってみる

それでもダメなら、私たちが一緒に新しい特技や、次に踏み出す機会を探していきます。

まずはお気軽にお問い合わせいただいて、皆さんと一緒に新しい一歩を踏み出せればと思います。

遠藤さん:「障害」によって社会から偏見を受けて、それで辛い思いをした方がたくさんいらっしゃると思います。

そして、そういった辛さが原因で、一歩踏み出すことに対する怖さを植え付けられちゃってると思うんです。

ですから、さまよって何万歩も歩くよりも、ルーツ川越に電話を1本かけて「自分でもできますかね。」って言ってくれれば、その勇気の一歩だけ踏み出してくれれば、あとは僕らが皆さんを一生懸命サポートします

皆さんの、そのような勇気ある一歩を心よりお待ちしております!

社会全体へのメッセージ

ーでは、最後に社会に向けてメッセージをお願いします!

松田さん:今の世の中では、転職を良しとしない風潮がいまだに強いと思うんです。一つの道を極めることが美徳だと考えられがちな気がします。

実際、一つのことをずっと続けるってすごく難しいですよね。

でも環境を変えてみることで、新たな得意分野に気づくかもしれません。

私もこれまで環境を大きく変えながら生きてきました。ここは自分の居場所ではないなと思ったら、すぐに次の場所へ行けば良いと思うんです。

転職を考えている人って、働くことに積極的な人じゃないですか。だから、そういった働く意志の強い人たちが後ろめたさを感じないような社会にしていきたいですよね。

遠藤さん:僕も松田さんと同じで、正しい理由があれば、転職なんて何十回も何百回もしても良いと思います。

何かの本に書いてあったんですけど、三日坊主って1年に120個新しいことに挑戦できるんですよ。その言葉に出会ってから、三日坊主って言葉が嫌いじゃなくなりました。

新しいことを何十回も何百回も、本気でやった先に自分の特技が見つけられて、それが社会に認められるのであれば結果オーライですよね。

だから障害がきっかけの転職って、その特技を探している段階なんだと思います。

社会としては、履歴書とか能力の高さを見られるけど、それってあくまで一方的な見方に過ぎないんですよね。

この先、ある程度のことはロボット化されていくはずなので、平均値の高い人間が一生使えるかというとそうではなくなると思います。

何かに突き抜けた人が輝いていって、社会がそれを障害と見るのか特技と見るのか、そして社会が、障害を特技として見なす方へ変わっていったら良いなと思います!

 

就労移行支援事業所ルーツ川越は、2022年3月1日に開所しました。お問い合わせはこちらから。

【編集後記】

障害を障害としてではなく、誰にでもある一つの大きな特徴であると捉え、そこを逆に強みにして得意なことを探していくという考え方に感動しました。

また、お二人とも明るくて気さくな方でした。ルーツ川越の支援員の皆様も笑顔が素敵で、間違いなく素敵な就労移行支援事業所になるなという印象を直感的に受けました。

ルーツ川越は、2022年3月1日にオープンしました。どうぞお気軽にお問い合わせください!

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