【うつで休職中の方へ】焦りや孤独で動けない…「復職」でも「転職」でもない第3の選択肢

「うつと診断されて休職中。休まないといけないのは分かるけど、何もしていない自分が許せない…」
「社会から完全に取り残された気がして、毎日焦りばかりが募る」
「元の職場に戻ることを考えると、体が鉛のように重くなる。でも、転職活動をする気力も自信もない…」

うつ病で休職している時、心と体は「休んで」と悲鳴を上げているのに、頭の中では「このままでいいのか」という焦りが渦巻いていませんか?

「早く何とかしないと」と思えば思うほど動けなくなり、そんな自分をさらに責めてしまう…。
それは、うつ病と真面目に向き合っているからこその、とても自然で、そして本当に苦しい状態ですよね。

私たち元支援員は、そんな「焦り」と「無力感」の板挟みで苦しむ方を、数多く見てきました。

この記事では、そんな苦しい状況にいるあなたへ、世の中にある「社会復帰のための選択肢」を公平に解説します。

「復職」や「転職」だけでなく、「自立訓練」や「就労移行支援」といった福祉サービスまでを網羅的に比較。その上で、休職期間を「未来への準備期間」に変える新しい方法について、詳しく解説します。

【Puente編集部】
元就労移行支援員で構成されているメディアです。

全国の就労移行支援事業所の紹介はもちろんのこと、就労移行支援員で培った経験、ノウハウを基に障がい者向けの就職や日常生活に役立つ情報を発信しています!

目次

うつで休職中…誰もが直面する「2つの崖」

うつ病で休職し、少しずつ気力が回復してきた頃。多くの人が、まるで高い崖の前に立たされたような、2つの大きな壁に直面します。

①「復職」という崖:また、あの場所で頑張れるのか?

こんな不安ありませんか?🤔
  • 「元の職場に戻っても、また同じことの繰り返しになるのでは…」
  • 「『迷惑をかけた』という罪悪感で、同僚や上司にどう思われるか怖い」
  • 「休む前と同じように働けるか、体力も集中力も全く自信がない」

元の職場に戻る「復職」は、環境を知っている安心感がある反面、うつ病の引き金となったストレス源が待っている場所でもあります。再発への恐怖や、周囲の目への不安は、回復途上の心にとって大きな負担となります。

②「転職」という崖:こんな自分で、新しい場所に行けるのか?

こんな不安ありませんか?🤔
  • 「休職期間(ブランク)が長く、面接で不利になるに決まっている…」
  • 「新しい人間関係や仕事をゼロから覚える気力が、今はとても湧かない」
  • 「体調に配慮してくれる職場なんて、どうやって探せばいいか分からない」

心機一転、「転職」を選ぶ道もありますが、ただでさえ低下している自己肯定感の中で、自分をアピールする就職活動は困難を極めます。「新しい環境に適応しなければ」というプレッシャーが、更なるストレスになることも少なくありません。

あなたの「休む」は、治療という名の「仕事」です

「復職も転職も無理そうだ…でも、何もしないでいる自分も許せない」

うつ病で休職している方が最も苦しむのが、この「休まなければいけない」という現実と、「何かをしなければ」という焦燥感の板挟みです。

真面目で責任感の強い方ほど、「休む」=「サボっている」「怠けている」と感じ、社会から切り離されたような孤独感に苛まれます。

ですが、私たち支援員はまず、こうお伝えしたいです。

あなたの「休職」は、決して逃げではありません。
それは、これ以上壊れてしまう前に、ご自身の心と体を守れたという「勇気ある行動」の結果です。

そして、うつ病の治療における「休む」は、何もしないことではありません。それは、脳と体を回復させるための、最も重要な「治療」であり「仕事」なのです。

無理に「復職」や「転職」という大きな決断をする前に、まずは「エネルギーを再充電する期間」が必要です。

その「エネルギーを再充電する場所」として、専門家のサポートを受けながら、プレッシャーなく社会との接点を取り戻せる場所があります。

就労移行支援だけじゃない?休職中の「次の一歩」3つの選択肢

「社会復帰」と一口に言っても、その形は一つではありません。
「就労移行支援」は、あくまで「一般企業への就職・再就職」を目指すためのサービスです。あなたの今の状況や目標によっては、他の選択肢が最適な場合もあります。

① 生活の土台から作り直す「自立訓練(生活訓練)」

【どんなサービス?】
いきなり就職を目指すのではなく、「生活リズムの安定」「体調管理」「金銭管理」「家事スキル」など、自立した日常生活を送るための土台作りを目的とした福祉サービスです。

【どんな人向け?】
「まだ働く自信はないが、昼夜逆転を治したい」「一人暮らしに向けて準備したい」という、就職の一歩手前の段階にいる方。

② 元の職場への復帰を目指す「リワーク支援」

【どんなサービス?】
元の職場への復職(Return to Work)を前提とした、専門のリハビリプログラムです。医療機関や地域障害者職業センターなどで提供されています。通勤訓練や模擬業務を通じて、ストレス対処法などを学びます。

【どんな人向け?】
「元の会社に戻る」という明確な意思があり、主治医からも許可が出ている、回復がある程度進んだ段階の方。

③ プレッシャーなく通える場所「就労継続支援B型」

【どんなサービス?】
雇用契約を結ばず、体調に合わせて自分のペースで軽作業などを行い、工賃(お給料)をもらえる福祉サービスです。「働く」ことへのプレッシャーが少なく、まずは「通う場所」「日中の居場所」としての役割が大きいです。

【どんな人向け?】
「すぐに一般企業で働くのは難しい」「まずは週1〜2日から、ごく短時間の作業から始めたい」という方。

この記事では、これらの選択肢の中でも、「休職期間(ブランク)を、新しいキャリアのための準備期間に変えたい」と考える方に向けて、「就労移行支援」について詳しく掘り下げていきます。

焦るあなたへ。「リハビリ基地」としての就労移行支援

「就労移行支援」は、うつ・休職中の方にとって、社会復帰への「リハビリ基地」として最適な選択肢の一つです。

「障害」と聞くと驚くかもしれませんが、うつ病や適応障害などの精神障害も対象であり、医師の診断書があれば、障害者手帳がなくても利用できる場合がほとんどです。

【就労移行が「第3の選択肢」である理由】

  • 目的が「就職」ではない:利用開始時の目的は、まず「安定して通所すること」。社会復帰に向けたリハビリ期間として使えます。
  • 生活リズムが整う:決まった時間に決まった場所へ通うことで、乱れた生活リズムを無理なく元に戻せます。
  • 利用料はほぼ無料:前年度の収入によりますが、ほとんどの方(約9割)が自己負担0円で利用しています。
  • 同じ悩みを持つ仲間がいる:一人で抱え込みがちな悩みを共有できる仲間と出会えることも、大きな支えとなります。

IT系だけじゃない!就労移行支援で学べる主なスキル

「就労移行支援」と聞いても、具体的に何ができるのかイメージが湧かないかもしれません。事業所によって特色がありますが、主に以下のようなスキルを学ぶことができます。

① 事務職・経理スキル

【主な内容】
WordやExcel、PowerPointといったPCの基本操作から、電話応対、ビジネスマナー、簿記(経理)の資格取得まで、事務職として働くための基礎を幅広く学びます。

【どんな人向け?】
業界を問わず需要の高い「事務職」を目指したい方、バックオフィスでの安定した働き方を希望する方。

② 軽作業・製造スキル

【主な内容】
商品のピッキング、検品、梱包、清掃、簡単な組立作業など、手先を使った実践的な訓練を行います。正確性や集中力、持続力を養います。

【どんな人向け?】
PC作業よりも、体を動かしたり、コツコツと手作業をしたりするのが得意な方、対人ストレスの少ない仕事を希望する方。

③ 接客・販売スキル

【主な内容】
挨拶の練習、レジ操作、商品の陳列、清掃、お客様対応(ロールプレイング)など、サービス業で必要なスキルを学びます。コミュニケーション能力の向上に重点を置きます。

【どんな人向け?】
人と接することが好きで、小売店や飲食店、ホテルの清掃など、サービス業での就職を目指したい方。

このように、就労移行支援には様々な選択肢があります。
その上で、私たちが「うつ・休職中」の方に「ITスキル」という選択肢を特におすすめしたいのには、明確な理由があります。

なぜ「ITスキル」を学ぶ就労移行が、うつ・休職からの再スタートに有効なのか?

その理由は、うつ病の「苦悩」に寄り添い、再発を防ぎながら、自信を回復するために重要な要素が詰まっているからです。

理由① 失われた「自己肯定感」を「小さな成功体験」で回復できる

うつ病の治療で最も難しいのが、失われた自己肯定感の回復です。プログラミングやWebデザインといったITスキルは、「コードが動いた」「デザインが完成した」という目に見える成果が日々積み重なっていきます。

私たち支援員は、この「自分にもできた」という小さな成功体験が、休職中に失ってしまった「自分にも価値がある」という感覚を、何度も目にしてきました。

理由② 再発を防ぐ「環境を変える武器」が手に入る

うつ病の再発防止には、無理のない働き方が不可欠です。もしあなたの休職の原因が、職場の環境(人間関係、長時間労働、通勤ストレスなど)にあるのなら、根本的な解決が必要です。

ITスキルは、在宅ワーク(リモートワーク)やフリーランス、時短勤務など、働く「場所」や「時間」を自分でコントロールしやすい、柔軟な働き方に直結します。

復職を選ぶにしても、転職を選ぶにしても、「ITスキル」という武器は、会社と交渉したり、より良い環境を選んだりするための強力な切り札となります。

数あるIT系就労移行の中でも「就労移行ITスクール」が選ばれる理由

就労移行ITスクールのイメージ画像
「ITスキルが有効なのは分かった。でも、IT系の就労移行支援もたくさんある…」

その通りです。その中でも「就労移行ITスクール」を特におすすめするには、明確な理由があります。

理由① うつ病の「波」に合わせて、スモールステップで始められるから

「頑張らなきゃ」と焦る気持ちとは裏腹に、体が動かない日があるのも、うつ病の苦しさの一つです。「就労移行ITスクール」は、うつ病や発達障害など、様々な特性への理解がある専門スタッフが常駐しています。

「まずは週2日の午前中だけ…」「今日は自宅でオンライン学習にします」といった、あなたの体調の「波」に合わせたオーダーメイドの計画でスタートできます。「毎日通わなければ」というプレッシャーから解放され、安心して社会復帰の準備ができる環境です。

理由② 全くの未経験からでも「挫折しない」カリキュラムがあるから

ITスキルと聞くと「難しそう」と不安になるかもしれません。しかし、「就労移行ITスクール」の利用者のほとんどは未経験からスタートします。

カリキュラムは、パソコンの電源の入れ方やタイピングといった基礎の基礎から学べるようになっています。専門スタッフが一人ひとりの進捗に合わせて丁寧にサポートするため、「授業についていけない」という挫折を防ぎます。

理由③ 高い定着率が「無理なく働ける」証拠だから

「就労移行ITスクール」が目指すのは、ただ就職することではありません。あなたが「無理なく働き続けること」です。

その証拠に、**就職後6ヶ月の職場定着率は96%**という高い水準を誇ります。これは、あなたの特性や体調を企業側に正しく伝え、最適な働き方を一緒に見つけてくれる、手厚いサポート体制があるからこそ実現できる数字です。

対象 発達障害・精神障害(うつ病、適応障害など)・知的障害・身体障害・難病
(障害者手帳をお持ちの方ではなくても利用可能です)
就労実績 280名(2023年度ITスクール全体)
定着率 96%(6ヶ月定着率|2023年度ITスクール全体)
主な拠点 宮崎、松戸、横浜関内、本厚木、長野、新大阪など全国40拠点以上

休職中のよくある不安 Q&A

Qまだ働く気力が湧きません。それでも利用できますか?

A はい、大丈夫です。「就労移行」という名前ですが、すぐに就職活動をするわけではありません。多くの方が「生活リズムを整えること」「安定して通うこと」を第一目標にスタートします。まずは「日中の居場所を作る」という感覚で見学してみてください。

Q体調に波があり、毎日通えるか不安です…

A ご安心ください。「就労移行ITスクール」では、週1日や半日からの通所、あるいは在宅でのオンライン訓練など、あなたの体調に合わせた個別計画を立てます。うつ病の特性を理解したスタッフがサポートしますので、無理なく自分のペースで進められます。

QITスキルなんて全くの未経験でも大丈夫ですか?

A もちろんです。利用者のほとんどが未経験からスタートします。カリキュラムは、パソコンの電源の入れ方やタイピング練習といった基礎の基礎から学べるようになっています。専門スタッフが一人ひとりの進捗に合わせて丁寧にサポートします。

焦らなくていい。でも、今日からできる「小さな一歩」

いかがでしたでしょうか。
うつ病での休職は、決して「終わり」ではありません。それは、これからの人生をより良く生きるために、立ち止まって準備する大切な時間です。

最もしてはいけないのは、焦って重大な決断をし、再発のリスクを高めてしまうこと。

「復職」や「転職」という大きな崖を無理に登ろうとする前に、まずは安全な場所で、しっかりとした装備(=自信とスキル)を整える「準備期間」を持ちませんか?

まずは「知る」ことから始めよう

「いきなり見学に行くのはハードルが高い…」

そう感じるのは当然です。この記事をここまで読んでくださったこと、それ自体が素晴らしい「一歩」です。

もし、ほんの少しでもエネルギーが残っているなら、次の「小さな一歩」として、自宅から参加できる無料のオンライン説明会や個別相談で、「どんな場所なのか」を、ただ知ることから始めてみませんか?

顔を出さずに話を聞くだけでも構いません。「自分にもできそうか」を判断するのは、それからでも全く遅くありません。

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「でも、何かを始めないと不安」

その苦しい胸の内を、まずは専門のスタッフに話してみる。それが、あなたにとっての確実な「次の一歩」になります。