就労移行支援事業所を利用しても就職できない?障害者雇用枠で就職するために大切なこと。

精神的に疲れてしまったり、成人してから障害特性を診断された方の中には、再就職に向けて就労移行支援の活用を検討されている方もいらっしゃるかもしれません。

就労移行支援は、障害のある人が就職を目指す際にサポートしてくれる福祉サービスの1つです。そして、就労移行支援サービスを提供しているのが就労移行支援事業所になります。

就労移行支援事業所では、利用される方々の就職に向けて様々なカリキュラムを用意しています。しかし、なかには事業所に通所していても就職に結びつかないケースも存在します。

就職ができる・できないの違いは、どのようにして生じるのでしょうか。

就労移行支援事業所を利用しても就職ができない理由について、そして就職するために大切な3つの点について解説していきます。

就労移行支援を利用しても就職できない理由

就労移行支援事業所ルーツ

就労移行支援事業所ルーツの四谷拠点に勤務する、職業指導員の真仁田護さんにお話を伺いました。

就労移行を通して就職できる人・できない人

伊藤

まず簡単に自己紹介をお願いします。

就労移行支援事業所ルーツで職業指導員として勤務しています。主に、事業所内で障害を持つ利用者の方々へ、社会生活や就職する際に求められるスキル面の指導を行っています。

 

また、就職までのスケジュール作成や、企業開拓なども取り組んでおり、卒業生の定着支援や就活時の面接同行といった就職に関わること全般に、関わっています。

 

事業所ではリーダーの役割を担っていますので、サービス管理責任者とともに、事業所全体を見る立場として、他の職員の指導や支援に関する研修も担当しています。

真仁田さん

伊藤

就労移行支援を活用して就職できる方とできない方がいらっしゃいます。就職できる人にはどのような特徴があるのでしょうか。

就職できる方の特徴ですと、よく言われていることではありますが、1つ目が勤怠の安定、2つ目がコミュニケーション、そして3つ目が障害理解になります。

 

どの要素が欠けていても、就職に繋がりにくい面がありますし、面接の段階でも採用担当の方から見られる部分ですので、今お伝えした3点が十分に整っていない方は、就職活動で乗り越えるべきハードルが多いように感じます。

真仁田さん

伊藤

なるほど。それはなぜでしょうか。

勤怠が安定していない場合は、お仕事を任せて大丈夫かと企業も心配になってしまいますし、障害への理解がしきれていない場合は、対人トラブルや業務上でのミス、ご自身の過度なストレスに繋がってしまうこともあります。就職はもちろん、定着についても課題を抱えてしまうケースが考えられます。

 

勤怠の安定、コミュニケーション、障害理解と聞くと、簡単なように感じるかもしれませんが、整えるのには時間がかかります。日々の訓練時間を通して、少しずつ就職に向けて進めていくイメージですね。

真仁田さん

伊藤

障害者雇用枠で就職する際にスキル面はどの程度必要なのでしょうか。

正直に言いますと、障害者雇用枠だったら、「このくらいのスキルがあれば問題ないです」とは一概には言えないのが実情です。

 

求人によって求めるレベルは様々でして、「募集要項に沿って、お任せした範囲で取り組んでください」という求人もあれば、「まずは自分がしっかり働ける状態を作っていきましょう」という求人もあります。

 

事務系の職種では、Excelでデータ抽出や関数を扱える、Webデザイン系の職種では、マークアップ言語やAdobe製品に対して理解がある、などある程度目安となる要素は存在しますが、本当に企業さまごとに多様なスタンスがありますので、それぞれの募集要項に沿って、必要なスキルを磨いていくかたちが多いですね。

真仁田さん

伊藤

年齢的に就職が難しかったり、就労移行の活用ができないなどはあるのでしょうか。

年齢に関しては、就労移行の場合ですと65歳未満の方が対象になります。そのなかには卒業見込み年度の学生も含まれています。

 

詳細は、私たちの事業所を含めて、検討されている就労移行支援事業所にご相談いただければと思うのですが、就職を目指される方であれば、基本利用は可能になります。

 

「年齢で就職できない」ということもなく、実際に40歳以上の方でも就職されているケースは少なくありません。ルーツでは、「可能性をあきらめない」というコンセプトのもと運営していますが、気になる方はぜひ一緒に歩んでいけたらと思います。

真仁田さん

就労移行支援でよくある勘違い

伊藤

就労移行支援を活用する上で、あらかじめ知っておくべき事項はありますか?

就労移行というのは、何かしらの障害を抱えた方が通所・訓練する事業所になります。就職を目指すというところでは皆さん一緒なのですが、ご自身の障害を自分で理解してコントロールできる状態にあるかは、私たちがサポートするだけでは難しい部分もございます。

 

あくまで、利用される方の「就職して自立したい」という主体的な気持ちが大切なので、本人の意向がないと就職活動でも上手くいかないことはあります。

 

私たちが、何かを手取足取りやってあげるわけではなく、あくまで事業所に通所される方々がどのような就職を目指されたいのか、どのようなキャリアを積み上げていきたいのかという部分が支援計画にも反映されるので、そこは見学に来られる方にもお伝えしています。

真仁田さん

就労移行支援事業所に問題がある場合

伊藤

事業所自体に問題があることはありますか?

就労移行支援事業所として登録されている事業所に関して、何か問題があるというより、マッチングに問題があるのではと考えています。

 

少なくとも悪い事業所があるといった認識はありません。それぞれの事業所でカリキュラムや訓練内容、支援内容は異なりますので、そこの特色が自分に合っているのか、そこの比較検討は大切です。

 

ルーツの場合ですと、ヒアリングした内容から他の施設やサービスの方が望ましい場合は、そちらもご紹介しています。

真仁田さん

就職を成功させるために大切なこと

障害の特性を理解する

伊藤

ありがとうございました。改めて就職を成功させる上で大切なことなどありますか?

繰り返しにはなってしまいますが、勤怠の安定、コミュニケーション、障害理解の3点が就職を成功させるためにも必要になります。

 

特に障害特性の理解は障害者枠での就職を考える際、重要なステップです。

真仁田さん

伊藤

障害特性を理解していくことは、人によって大変な作業かもしれませんね。

ご自身の苦手と向き合う時間は、ネガティブな経験を思い起こすことがありますので、当然つらくなってしまうことも考えられます。

 

そうした過程のなかで、一緒に向き合ってくれる、一緒につきあってくれる人がいるといないのでは、大きく違うように感じています。支援員として、普段利用者さんと接するなかでも実感していることではありますので、就労移行支援の利用を検討されている方は、ぜひ上手く私たちを活用して欲しいです。

真仁田さん

生活面から見直し、就職で求められるスキルを身につける

伊藤

就職を成功させる上で勤怠の安定やコミュニケーションのお話もありました。

そうですね。勤怠の安定やコミュニケーションも同様です。

 

勤怠の安定について、これは週5日必ず働けるようにということではなく、あくまで先程お伝えした通り、ご自身がどのような働き方を希望されているのか、そこに向けて安定した勤怠を継続できるかどうかになります。

 

自分が働きたい業務時間や勤務日数と考えたとき、事業所に通う勤怠はどれくらい安定していなくてはいけないのか、就労移行支援ではそうしたことを支援員と一緒に考えいきます。

 

コミュニケーションは、障害者雇用枠ですと、いろいろな障害の方と働くこともあるので、コミュニケーションを円滑にチームで行えるかという側面は人事の方も気にされています。

 

職場での円滑なコミュニケーションが難しく、お仕事が続かないことも少なくありません。いかに自分自身が普段から報・連・相を意識して会話ができているのかは、働くことに限らず、日常生活のなかでも大切な要素です。

真仁田さん

自身の障害特性に合ったアイテムを活用しよう

伊藤

事業所によって、特性に配慮した環境を整えているところも少なくありません。利用者さんの中で取り組まれているご自身への配慮などはありますか。

そうですね。例えば、周囲の音が気になるですとか、口頭での指示が聞き取りづらい方などは多いですね。

 

周囲の音が気になる方には、訓練中のイヤフォンは許可していますので、耳栓をされている方も見られます。そこは障害者雇用枠で就職される際も、受け入れられる部分ですので、自分の能力をちゃんと発揮できるような環境を用意しています。

真仁田さん

就労移行支援事業所選びで大切なこと

伊藤

就労移行支援事業所選びで大切なことを教えてください。

自分がどのように働いていきたいのかというところを相談してもらって、その就職先を目指すために何をしていくのか、ということを話すことが重要です。

 

もし1年で就職を目指したいのであれば、その間に何をするのか、支援員と協力しながら決めていくので、まずはご自身が通える事業所かどうか、見学はもちろん体験を通して判断していただきたいです。

 

3事業所ほど見ていただければ、就労移行のイメージ、カリキュラムの違いなどが確認できると思いますので、自分にあった事業所を選んでもらえたらと思います。

真仁田さん

さいごに

自分に合ったサービスを活用し、就職を目指そう

今回は、就労移行支援事業所を利用して就職できる場合とそうでない場合についてご紹介していきました。

自分に合った働きやすい環境での就職を目指すためにも、勤怠やコミュニケーション、障害理解といった要素は、ぜひ意識してみてください。

また、自身の症状や障害特性を理解することは重要ですが、就職の可能性や選択肢を広げるためには、様々な求人媒体を活用することも大切です。

就労移行支援事業所はもちろん、障害者専門の転職支援サービスも利用してみてはいかがでしょうか。

Puenteでは、就労移行支援事業所ルーツとともに難病や障害をもつ方の就労支援を行っています。

就労移行支援事業所についてご質問やご相談がありましたら、ぜひ一度お問い合わせください。

(編集:伊藤弘紀|Twitter)